怖い話と怪談の処

ブログ名の最後の文字は(ところ)と読みます。怖い話や不思議な話が大好きな方、是非ご堪能下さい。記事への★ありがとうございます。

2025-02-01から1ヶ月間の記事一覧

古いホームと灯籠

Kさんの祖父が若かった頃の話。 彼の故郷では、毎年秋の終わりに「送りの灯」という行事があった。 場所は町外れにある、今は使われていない小さな駅。 古いホームに灯籠を並べ、最後の列車を見送るように火を灯す。 そして夜が更ける前に、それらの灯籠をひ…

誰か、いますか?

ある夏の夜、友人と二人で渓流釣りに出かけた。日が暮れる頃、山奥の川辺にテントを張り、焚き火を囲んで釣果を語り合う。ひっそりとした森の静けさと、川のせせらぎが心地よかった。 やがて火を落としテントの中の寝袋に潜り込んだ時だった。 「誰か、いま…

鹿なんだろうか

友人の話。 彼は登山が趣味で、休日にはよく山へ出かける。 ある日、低い山を軽く登った後、山道の脇にある小さな沢で休憩していた。 水を汲んでいると、少し離れた場所で同行していた後輩が何かをじっと見つめている。 「どうした?」と声をかけると、後輩…

何かが埋められている畑

知り合いの話。 彼の叔父は、郊外にある築百年以上の古い家を受け継いだ。 人が住まなくなって長いせいで庭は荒れ放題で、少しずつ手入れをしているらしい。 ある日、彼は叔父の手伝いのためにその家を訪れた。 庭の草を刈ったり、古い家具を運び出したりし…

水面を漂う髪の毛の束

知り合いの話。 彼の叔父は漁師だった。 島で暮らしていた彼は、よく叔父の船に乗せてもらい漁の手伝いをしていたという。 ある日、叔父が仲間の漁師たちと沖に出た。 その日は潮の流れが良く、大漁が期待できる状況だった。 しかし漁の最中に無線が飛んでき…

沼の奥から聞こえたうめくような声

Mさんと3人の釣り仲間で体験した話。 彼らは週末になると車を走らせ、人気のない山間の沼へ向かうのが恒例になっていた。 その日も夕方から釣りを始め、夜になっても撤収せず焚き火を囲んで酒を飲んでいた。 夜の沼は風もなく、水面はぴたりと静まり返ってい…