2025-03-01から1ヶ月間の記事一覧
蒸し暑い夏の夜。 Tさんは寝苦しさに耐えかね、天井を見つめていた。 窓の外からは、夜なのに鳴き止まないカエルの声が響いている。 普通なら心地よい田舎の音だが、その夜は何かが違った。 妙にうるさい。 枕を耳に押し当てても鳴き声はどこまでも響いてく…
夏の夜、Hさんは友人たちと花火大会を楽しんでいた。 大きな花火が夜空を彩り、屋台の明かりが人々の顔を照らす。 しかしちょっと目を離した隙に、Hさんは人混みに紛れ、友人たちとはぐれてしまった。 「あれ?どこに行ったんだろう」 スマホを取り出して連…
真夏の夜、Sさんたち四人は地元の山奥にある廃駅へ向かった。 その駅は数十年前に廃線となり、今では線路が草に埋もれ駅舎も朽ち果てている。 夜になると肝試しに訪れる者もいるが、あまりの不気味さにすぐに引き返すのだという。 「本当に出るのか確かめて…
七月に入り、避暑地の湖は観光客で賑わうはずだった。 しかし今年は何かがおかしい。 湖畔のキャンプ場を管理するSさんは、湖のほとりで奇妙な跡を見つけた。 それはまるで小さな手のひらを押し付けたような形をしていた。 最初に見つけたのは湖開きの日の早…
大学時代の友人たちと、山奥の小屋に泊まった時のことだった。 その小屋は登山客向けに使われる簡素な造りで、水道や電気は通っていたが、周囲には他の建物はなく、夜になると街灯の明かりすら届かない。 食事を済ませた後、俺たちはランタンの灯りを頼りに…