2025-08-01から1ヶ月間の記事一覧
Sさんが友人たちと、森の中にあるペンションに泊まりに行った時の事。 到着して荷物を降ろし、チェックインを待っている時のこと。 ロビーの奥の壁際に、黒いコートを着た人影が立っているのが目に入った。 帽子を目深にかぶっているのか、顔はよく見えない…
Yさんが山奥の小さな民宿に泊まった時の事。 客は自分ひとりだったようで、貸切状態であった。 夕食後、早めに部屋へ戻り、敷いてあった布団に横になった。 古い木造の宿は夜になると音がよく響き、窓の外では虫の声すらしない。 すぐに眠りに落ちたのだが、…
Kさんが仕事の疲れを癒やそうと、山間の古い旅館に泊まった時の事。 静かな夜、三階の部屋でひとり湯冷ましの水を飲んでいたとき、ふと窓の外に違和感を覚えた。 見るとそこに黒い人影が立っていた。 窓のすぐ外、闇の中で輪郭だけが浮かんでいる。 ここは三…
Rさんは雪山で一人、テントを張って夜を迎えていた。 外は吹雪もなく、月明かりが淡く雪面を照らしている。 静まり返った白い世界を見ながら温かい飲み物を口にしていたとき、異様なものに気づいた。 テントの外、少し離れた雪原に黒い輪郭が浮かんでいる。 …
Nさんは山奥の古い吊り橋を渡っていた。 谷底は深く、白い霧が渦を巻いている。 足元の木板は湿って軋み、橋全体が風に合わせて揺れていた。 その時、視線の端で違和感を覚えた。 橋の下、霧の中に白くて長いものが垂れ下がっている。 最初は補強用のロープ…
Fさんは沢沿いの岩場で一息ついていた。 流れる水音と苔むした匂いの中、ふと視線を落とすと、岩の下に小さな穴があることに気づく。 動物の巣穴にしてはおかしい。 興味を惹かれ、身をかがめて覗き込んだ瞬間、背筋が冷たくなった。 穴の奥に歯が並んでいた…
Mさんは沢沿いの岩に腰を下ろし、冷たい水を飲みながら一息ついていた。 周囲はしんとした森で、風もなく、水音だけが響いている。 ふと視線を横にやると、近くに倒れた大木があった。 なんとなくその倒木を見ていると、幹の割れ目に、何かが見える事に気が…
Tさんは夜明け頃、人気のない山を一人で登っていた。 ライトの光だけを頼りに、霧の濃い登山道を進む。 山の中腹付近に差しかかったとき、異様なものを見た。 前方の霧の中に、黒い塊がいくつもいる。最初は鹿の群れかと思ったが、足音がしない。 風もないの…
Yさんは単独で山を歩くのが好きで、その日も夕暮れ前の尾根道を進んでいた。 赤く染まった空を背に、前方に不自然な光を見つけたとき足を止めた。 岩場の上に何かが立っている。 鏡のように光を返す細長い板だ。 誰かが設置したのかと思い近づいた。 しかし…
Kさんがその山に入ったのは、梅雨明け直後の蒸し暑い日だった。 標高はそれほど高くないが、谷が深く、地形のせいで霧が出やすい。 地元の登山者の間では「霧の日は谷を覗くな」と言われているらしいが、Kさんはそんな迷信を気にするタイプじゃなかった。 あ…
冬のある日、Mさんは学生時代の友人たちと四人で山奥のコテージに泊まった。 そこは小さなスキー場のさらに奥、街の明かりも届かない場所で、雪深い冬には一面が真っ白になる。 夕方に到着したとき、外はすでに薄暗く、雪はしんしんと降り続いていた。 冷気…
登山が趣味のKさんは、仲間のSさん、Tさんと三人で沢登りをする計画を立てていた。 その沢は県内でも静かな山奥にあることで知られ、観光客は少ない。 苔むした岩と冷たい水の音だけが続く、まさに自然そのものの景色だ。 昼を過ぎ、沢は両側を切り立った岩…
Kさんが友人たちと海沿いをドライブした帰り道のこと。 夜の海岸線は外灯も少なく、波の音だけが遠くから聞こえてくる。 しばらく進むと、古びたコンクリートのトンネルが現れた。 海辺特有の潮風で壁は黒ずみ、どこか湿っているように見えた。 「なんか雰囲…
Tさんが友人のYさん、Kさんの三人で郊外の川原に出かけた時の事。 天気のいい休日で、昼間からバーベキューを楽しもうと出かけた。 川は穏やかに流れ、子どもでも遊べるほど浅い場所が多く、危険な感じはまったくない。 日が傾きはじめ、火を囲んで談笑して…
登山が趣味のOさんが、休日を利用して一人で近郊の山へ出かけた時の事。 その日は天気もよく、山頂からの景色を楽しんだあと、ゆっくりと下山していた。 だが、夕暮れの山は想像以上に早く影を落とし、木々の間は次第に薄暗さを増していく。 足元に気をつけ…
鉄道会社に勤めるYさんは、終電が発車した後の静まり返った駅で、いつものようにホームの点検を行っていた。 時刻は深夜1時過ぎ。 Yさんは懐中電灯を手に、ホームの端から順に歩いていた。 点検項目を確認しながら、ふと視線を線路側に向けたその瞬間、異様…
看護師のNさんは、いつものように静まり返った病院の夜勤に従事していた。 時刻は午前2時、彼女は懐中電灯を手に、四階の廊下をゆっくりと歩いていた。 患者の容態を確認し、ナースステーションに戻る途中、ふと右手の窓に目をやった。 その瞬間、心臓が跳ね…
Sさんは広告代理店で働く30歳の会社員。 彼の職場は東京のオフィス街にあり、夜遅くまで残業するのが日常だった。 その日も時計はすでに22時を回っていた。 オフィスは静まり返り、同僚たちはとっくに帰宅していた。 Sさんは書類の山を整理しながら、疲れた…
この話は中学時代の林間学校での体験を、Tさんが語ってくれたものだ。 夏の終わり、Tさんのクラスは森に囲まれたキャンプ場へ二泊三日で訪れた。 テントが並ぶ広場の外周には、夜になると淡いオレンジ色の街灯が等間隔に灯り、昼間の賑やかさとは打って変わ…
この話は会社の先輩であるYさんが、お盆休みに体験した出来事。 Yさんは同じ部署の同僚三人、Kさん、Sさん、Hさんと一緒に、山奥にある貸別荘を借り、バーベキューを楽しむことにした。 別荘は木造二階建てで、周囲は鬱蒼とした林に囲まれ、最寄りの集落まで…
釣り好きのKさんは、同じ趣味を持つSさん、Tさんと三人で、山間の川沿いにある古い旅館に泊まる計画を立てた。 その川は昔から、鮎やヤマメがよく釣れることで知られていたが、近年は人も少なく、夜になると水の音だけが谷に響く静かな場所だという。 宿は木…
秋も深まった頃、Tさんは大学時代の友人たち、Sさん、Mさん、Kさんの四人と、久しぶりの再会を兼ねて山奥の温泉旅館へ泊まりに行った。 その宿は築八十年を超える古い木造三階建てで、山の斜面に寄り添うように建てられていた。 廊下は長く、夜になると外の…
登山好きのMさんは、秋の山道を一人で歩いていた。 目的の山頂まではまだ距離があったが、少し開けた小さな台地を見つけたため、休憩を取ることにした。 そこには、なぜか水面が広がっていた。 湖というよりは、直径二十メートルほどの小さな池。 だが、その…
Rさんは自然調査の仕事で、ある湿原地帯を訪れていた。 昼を過ぎ、空は鈍い灰色で遠くの山影が霞んでいる。 湿地の草原は広く、足元には小さな水たまりが点在していた。 ふと立ち止まったとき、Rさんは奇妙なことに気づく。 風が吹いていないのに、数メート…
Kさんがその海岸を歩いていたのは、夕方近い干潮の時刻だった。 観光地からは離れた寂しい磯で、人気はなく、波の音だけがゆっくりと響いていた。 ふと足元を見ると、砂の上に小さな顔のような跡があった。 大人の手のひらほどの大きさで、目と口のようなく…
Nさんがその廃ホテルを訪れたのは、友人たちとの心霊スポット巡りの一環だった。 標高の高い場所に建つそのホテルは、かつては避暑地として賑わっていたらしい。 しかし今は壁も床も崩れ落ち、上層階へ行く階段も一部が崩落していた。 Nさんは好奇心から、比…
Hさんたちは、趣味で廃墟巡りをしている社会人のグループだった。 その日訪れたのは、長野県の山中にぽつんと建つ、かつて山荘として使われていた古い建物。 道も途切れ、もう十年以上は人の出入りがなかったという。 木造二階建ての建物はひどく傷んでいた…
Aさんは休日の早朝、単独で標高千メートルほどの山を登っていた。 整備された登山道を外れ、少し険しい岩の斜面をよじ登っていたときのこと。 岩と岩の重なりが生んだ、ちょうど人の頭ひとつ分ほどの隙間に、黒く濡れたような空洞があるのに気がついた。 湿…
Cさんが登山中、斜面をショートカットしようとして、獣道のような藪に足を踏み入れた。 笹や潅木が密に生い茂るその斜面は、踏み固められてはおらず、足を取られるたびに手で枝をかき分けながら、なんとか進んでいたという。 そんなときだった。 前方の潅木…
Oさんがその尾根道を歩いていたのは、晴れた午後だった。 少し風が強く木々がざわつく中、ふと右手の木の幹に奇妙な模様があることに気がついた。 近づいて見てみると、それは赤く変色した木肌の部分に刻まれたような、円形の印だった。 何かの塗料で描かれ…