2025-09-01から1ヶ月間の記事一覧
Tさんは登山が趣味で、その日は岩場の多いコースを一人で登っていた。 午後の日差しに照らされた岩壁を慎重に登っていると、ふと、目の端に小さな影がよぎった。 よく見ると、岩肌にトカゲのようなものが貼りついている。 だが普通のトカゲではなかった。 体…
Mさんは趣味で山歩きをしており、その日も人気の少ない登山道を一人で登っていた。 昼を少し過ぎた頃、木々の合間から広い草地に出た。 そこには十数頭の鹿の群れがいた。 思わぬ出会いに感動していたのだが、すぐに違和感を覚える。 どの鹿にも角がない。 …
Kさんは単独での登山が好きで、その日も人気の少ない山の尾根を歩いていた。 午後の光が傾き始め、稜線の向こうには岩肌が夕陽に照らされて光っている。 心地よい風に汗を乾かしながら進んでいたとき、ふと視界の端に異様なものが映った。 尾根の先、岩場の…
Tさんは仕事の帰り、繁華街を抜けた裏路地を歩いていた。 街灯がまばらに照らすその道は、人通りもなく、アスファルトには昼間の熱がまだじんわりと残っている。 夜風が吹き抜けたとき、路地の奥に何かが動いた。 暗がりから現れたのは一匹の猫だった。 痩せ…
Rさんがその奇妙な光景を目にしたのは、夏の終わりの夕暮れだった。 人気のない山道を歩いて崖沿いに出ると、西日を浴びた空に不自然な影が浮かんでいた。 雲でも鳥でもない。それは群れを成した魚だった。 銀色の鱗のような輝きを放ちながら、尾を揺らし、…
Sさんは写真が趣味で、休みの日に人の少ない場所を探してはシャッターを切っていた。 その日は夕暮れ時、郊外の廃駅を訪れていた。 線路は草に覆われ、ホームの壁には落書きが残り、どこか寂れた空気が漂っている。 人の気配はなく、風が吹くたびに金属の音…
Nさんは仕事帰り、夏の夕暮れの田んぼ道を歩いていた。 一面の稲が風に揺れ、あぜ道には赤とんぼが飛んでいる。 西の空は朱に染まり、そろそろ暗くなるな、そう思ったときだった。 ふと横の水田に目をやると、水面に何かが浮いていた。 最初はカカシの頭か、…