これはネットで怪談を投稿し続けている人の体験談。
ある夜更けのこと、いつものように私は集めた怪談話を整理しておりました。
すると、突然部屋の電気が消え、パソコンの画面が真っ暗になってしまったのです。
「これはまた随分と古典的な…。」
そう呟きながら、私は懐中電灯を探そうと机の引き出しに手を伸ばしました。
その瞬間です。
背後からひんやりとしたものが、私の首筋に触れたような気がしたのです…。
「ひぁっ!?」
思わず私は情けない悲鳴をあげてしまい、恐る恐るゆっくりと振り返りました…。
…しかしそこには何もいませんでした。
これだけだと短すぎますので、もう1つ。
あれは今から数年前の真夏の出来事でした。
その日は締め切りが迫る怪談話の原稿執筆に追われておりまして、連日徹夜が続いておりました。
締め切り前夜、集中力を高めるため、私はいつも通り集めた怪談話の録音を聞きながら作業しておりました。
窓の外は激しい雷雨に見舞われており、部屋は停電でノートパソコンの画面から漏れる光だけが頼りです。
「…そして男が恐る恐る振り返ると…」
ヘッドホンから流れる不気味な怪談話。
私は次第に話の世界に引き込まれ、周囲の音が全く聞こえなくなっておりました。
その時です。
ドンッ!
…と、突然、窓ガラスを何かが叩きつけるような音がしたのです。
(…鳥か?いや、こんな嵐の夜に…)
私は一瞬作業の手を止め、窓の方へ顔を向けました。
しかし激しい雨と雷鳴のせいで、窓の外の様子は全く見えません。
ドンッ!ドンッ!
再び窓ガラスを叩く音が響きます。
しかも今度は先程よりも激しく、まるで何かが必死に助けを求めているように聞こえました。
(まさかこんな夜に誰かが?いや、でも…)
恐怖と好奇心が入り混じる中、私は意を決して窓に近づいていきました…。
カーテンを開け、窓の外を覗き込んだのですが何もいません。
(気のせいだったか?)
外は相変わらず激しい雨と雷に見舞われています。
「まったく、疲れているとこんな幻聴まで聞こえるようになるなんて」
私は自分の臆病さを笑い飛ばそうと、自嘲気味に呟きました。
そして再びパソコンに向かい、作業を再開しようとしました。
その時です。
私の目の前に置かれたスマートフォンの画面が、勝手に点滅し始めたのです。
「!?」
画面には見覚えのない電話番号からの着信が表示されています。
私は恐怖と好奇心に突き動かされるまま、震える手でその着信ボタンを押しました。
「…もしもし?」
しかし電話口からは一切応答がありません。
ただ、ザーッ…ザーッ…というノイズだけが不気味に響き渡っています。
もう一度、恐る恐る電話口に呼びかけました。
「もしもし?どなたですか?」
次の瞬間…
「…窓、あけ、ザザーッ…」
か細い少女の声が聞こえたと思った途端、またノイズが聞こえ、それと同時に部屋の電気が再び点灯したのです。
まるで、少女の声が聞こえたタイミングに合わせて、ブレーカーが復旧したかのように…。
「な、なんだ…今の…」
私は恐怖で震える体を押さえながら、辺りを見回しました。
部屋の中は先程までと何も変わりません。
窓の外の嵐も嘘のように静まり返っています。
しかし、私の頭にはさっきの電話の少女の声が生々しく残っていました。
「…窓、あけ…」
窓を開けてという意味だったのでしょうか。
窓を開けていたら一体どうなっていたのか?
確かめたかったのですが、さすがに嵐で雨が凄い時は開けたくないですね。