ある山奥の村には、古くから「狐の社」と呼ばれる神社があった。
この神社は村人たちにとって神聖な場所であり、毎年春には盛大な祭りが行われていた。
しかし、その神社には決して触れてはならない禁忌が存在していた。
その禁忌とは、「神社の裏山に入ってはならない」というものだった。
村人たちは代々この掟を守り続けていたが、ある若者がその禁忌を破ってしまう。
その若者は翔太と言い、都会から戻ってきたばかりだった。
彼は村の古い風習や迷信を信じず、神社の裏山に興味を持っていた。
ある夜、友人たちと酒を飲んでいる最中に、酔いの勢いで「裏山に入ってみよう」と提案した。
友人たちは最初こそ躊躇していたが、翔太の勢いに押され一緒に行くことにした。
深夜、懐中電灯を片手に、翔太と友人たちは神社の裏山に足を踏み入れた。
森の中は異様に静かで風の音すら聞こえなかった。
彼らは不安を感じつつもさらに奥へと進んでいった。
やがて彼らは古びた祠を見つけた。
祠には古い狐の像が置かれており、その像は不気味なほどに生々しい作りをしていた。
翔太はその像に興味を持ち触れようとしたが、友人の一人が「やめたほうがいい」と制止した。
しかし、翔太はその言葉を無視して狐の像に手を触れた。
すると激しい寒気が翔太を襲い、寒い寒いと言った後に倒れてしまった。
友人たちは驚き、翔太を抱えながら急いで山を下りた。
しかし、その夜から翔太の様子がおかしくなった。
彼は高熱を出し3日間眠り続けた。
4日目、ようやく目を覚ました翔太は家族に「夢の中で何度も狐の像に追いかけられた」と訴えた。
翔太は家族に入ってはいけない裏山に友人たちと入った事と、祠の中にあった狐の像に触れた事を話した。
家族はびっくりし翔太に激怒した。
その後家族は心配になり、村の年老いた神主に相談したところ、彼は深刻な顔をして言った。
「あの裏山には古くから狐の神が祀られていて、その神を怒らせたら恐ろしい祟りが起こると伝えられている。
翔太がその像に触れたことで、狐の神の怒りを買ってしまったのだろう。」
神主は祓いの儀式を行うから翔太とその友人たちを連れてくるように言い、準備に入った。
やがて友人たちやその家族も集まり、神主を先頭に裏山に向かった。
祠に辿り着くと神主は厳粛に祈りを捧げ、翔太の友人たちは狐の神に謝罪を述べているが、翔太は目が虚ろになりフラフラと揺れていた。
どのくらい経ったかは分からないが、儀式が終わると翔太は正気に戻った。
神主は
「ちょっと触った程度だったから狐の神が許してくれたのだ。
もし叩いたりいたずらをしていたら翔太は連れていかれたかもしれないな」
そう言って2度と裏山には入らないよう警告した。