お盆の夜、Sさんたちの村では毎年恒例の盆踊りが開催されている。
盆踊りやぐらの周りには色とりどりの提灯が灯り、村人たちは浴衣を着て賑やかに踊りを楽しんでいた。
Sさんも友人たちと一緒に輪の中に加わり、盆踊りのリズムに合わせて踊っていた。
笑い声や音楽が夜空に響き渡り、夏の盆踊りの雰囲気を楽しんだ。
しかしふとした瞬間、Sさんは踊りの輪の中に見慣れない顔が混じっていることに気づいた。
その人は結構な年の老人で、古風な着物を着ている。
「あの人誰だろう?」
村で行われている盆踊りなのでほとんどが顔見知りである。
誰かの遠い親戚とかで県外から来たのだろうか?
Sさんは友人にそのことを尋ねようとしたが、踊りに夢中で誰も気に留めていない様子だった。
再びその人を見つめていると、やがてその人は他の踊り手に紛れて見えなくなってしまった。
踊りが続く中、Sさんは不思議な感覚に包まれた。
その見知らぬ人が現れるたびに、周囲の空気が一瞬冷たくなるような気がしたのだ。
「やっぱり変だ」
Sさんはその人の方に近づこうとしたのだが、踊りの流れに乗せられてなかなかうまく近づけなかった。
やっとのことでその人の近くまでこれた時、突然その人が消えてしまった。
「え?あれ!?」
驚いたSさんは周囲を見回したが、その人の姿はどこにもなかった。
まるで幻だったかのように消え、それ以降現れなかった。