都会の喧騒から離れ、田舎の大学に進学するために引っ越してきたFさん。
新しい環境に胸を躍らせていたが、そこで奇妙な噂を耳にすることになった。
Fさんが大学に入学して間もない頃、友人たちと一緒に村の古い図書館で課題に取り組んでいた。
図書館は夜遅くまで開いており、Fさんはその静かな環境を気に入っていた。
ある晩、閉館時間が近づくと奥から妙な音が聞こえてきた。
興味を引かれたFさんが音の方へ近づいていくと、そこには異様に背の高い女性のシルエットが見えた。
天井に頭が届くほどの高さで、その女性は低い声で何かを呟いていた。
恐怖で身体が動かなくなったFさんはその場に立ち尽くしていたが、突然女性が消えたかのように見えなくなった。
しばらくその場で動かずにいたFさんだが、体が動く事に気づき、急いで荷物を持って図書館から逃げ出した。
翌日、大学の友人たちにその話をすると彼らは顔を曇らせた。
友人たちはこの村に伝わる「高身長の女性」の噂を話し始めた。
村には昔から異常に背の高い女性が現れ、目撃者を連れ去るという伝説があったのだ。
友人たちは、さすがにただの噂だし気にする事ないよ。と言ってくれたのだが、その日以来、Fさんはその女性の姿を何度も見かけるようになった。
ある日は自宅の窓越しにその女性が立っているのを見た。
別の日には大学の帰り道でその影を見かけた。
最初は一瞬の出来事だったが、次第にその出現頻度は増していった。
毎回女性は低い声で何かを呟いており、その声は次第にFさんの心を蝕んでいき、夜もまともに眠れなくなってしまった。
友人や家族に相談してもしょうがないと思いこんでしまったFさんは、孤独感が深まるばかりだった。
そんなFさんが、ある日を境に姿を消した。
たまたまFさんらしき人を見たという目撃情報によると、最後に彼を見たのはFさんの帰り道にある公園で、ベンチに座って震えてる姿だったそうだ。
Fさんの失踪後、彼の家の中からは不気味な遺留品が見つかった。
壁には爪痕のような傷が残され、彼の部屋には無数の影が写った写真が散らばっていた。
その中には、あの高身長の女性の姿がはっきりと写っていた。
村人たちは高身長の女性に連れ去られたのだと噂し合った。
Fさんの失踪事件以来、高身長の女性の話は村の間でさらに広まり、恐れられる存在となった。
村の古い図書館には今も夜になると、背の高い女性の影がちらつくと言われている。