怖い話と怪談の処

ブログ名の最後の文字は(ところ)と読みます。怖い話や不思議な話が大好きな方、是非ご堪能下さい。記事への★ありがとうございます。

消えた通学路

K君は毎朝通っている通学路が好きだった。

家から学校までの道のりは、友達と合流して一緒に歩くのが楽しみだったからだ。

 

その日もいつものように家を出て、友達と待ち合わせ場所で合流した。

ところがいつもの角を曲がった瞬間、K君たちは立ち止まった。

見慣れた通学路が消えてしまっていて、代わりに見知らぬ道が続いていたのだ。

不安に感じつつも時間がないため、そのまま進むことにした。

道は次第に狭くなり、両側には背の高い木々が生い茂っていた。

空は曇り、薄暗くなってきた。

 

やがて奇妙な静けさが辺りを包み始めた。

鳥の声や風の音すら聞こえなくなり、K君たちは緊張感を覚えた。

さらに進むと、突然霧が立ち込めてきた。

視界がほとんど効かなくなり、友達の姿もぼんやりとしか見えない。

K君は急に寒気を感じ、背筋がぞくりとした。

その時、霧の中から誰かの囁き声が聞こえてきた。

「こちらに来てはならない」

K君たちは立ち止まって恐怖におののいた。

進むべきか引き返すべきかを迷っていると、霧の中に不気味な影が見えた。

それは人間の形をしていたが、異様に大きくゆらゆらと揺れていた。

「もう戻ろう!」

と友達が叫んだ。

しかしその瞬間、K君は足元が急に重くなり、まるで何かに引っ張られているような感覚に襲われた。

動こうとしても足が動かない。

「助けて!」

と叫び声を上げるが、声は霧の中に消えていった。

それと同時にK君の眼の前が暗くなり、気を失った。

 

気がつくと、K君は学校の校門の前に立っていた。

友達もそばにいたが、皆一様に青ざめていた。

時計を見ると、通学路に入ってからまだ数分しか経っていないことに気付く。

しかし、その道を通ってきた記憶は確かにあり、皆が同じ体験をしたことを確認し合った。

K君たちは二度とその道を通ることはなかった。

その日以来、見知らぬ道は再び現れず、通学路は元通りになっていた。