怖い話と怪談の処

ブログ名の最後の文字は(ところ)と読みます。怖い話や不思議な話が大好きな方、是非ご堪能下さい。記事への★ありがとうございます。

山小屋で聞こえてくる「トントン」という音

山深い山中で一人で登山をしていた時の話。

 

日が暮れ、予定していたよりもだいぶ道を進んでしまっていた私は、途方に暮れかけていた。

そんな時、木々の奥まった所に古びた山小屋があるのに気づいた。

「あんなところに…」

山小屋なら管理人が常駐しているはずだが、呼び鈴を鳴らしてもノックをしても反応がない。

少しためらったが扉を開けると、中は薄暗く人の気配は感じられない。

「誰かいますかー!」

大声で呼びかけても返事はなかった。

仕方なく、勝手に泊まるわけにもいかないので、せめて夜明けまで休ませてもらおうと、土間で休むことにした。

リュックから毛布を取り出し、床に敷いて横になる。

 

どのくらい経ったか分からないけど、静寂の中、どこからか

「トン…トン…」

と鈍い音が聞こえてきた。

音のする方を探してみると、どうやら厨房から聞こえてくるようだ。

恐る恐る厨房を覗いてみたけど誰もいない。

しかし音は確かに聞こえる。

「トン…トン…トン…」

まるで包丁で何かを叩き切るような音だ。

私は背筋に冷たいものを感じた。

この山小屋には何かがいる。

そう思った私は音を立てないように戻り、山小屋の出入り口の近くの壁によりかかり、朝になるのを待った。

 

ウトウトし始めた頃、気がつくと外は明るんできていた為、急いで毛布をしまって山小屋を飛び出した。

そして一刻も早くこの山から下りようと、走り出した時、後ろから何者かの足音が聞こえてきた。

振り向く勇気はなく、必死に山を下り続けた。

 

ようやく麓にたどり着いた時、後ろを振り向いたが何もいなかった為安心した。

その後近くでやっていた飲食店に入った私は、店の中にいた店長さんにその事を話してみたところ

「その山小屋は昔、猟師が山で獲物を捌いていた小屋なんだそうだ。

その猟師は山で遭難して亡くなったらしいが…今でも夜になると、あの小屋から包丁の音が聞こえてくるって噂を聞いた事があるよ」

と言った。