怖い話と怪談の処

ブログ名の最後の文字は(ところ)と読みます。怖い話や不思議な話が大好きな方、是非ご堪能下さい。記事への★ありがとうございます。

お盆 登山道をくだってくる人影

日が傾き始めたお盆の夕方、俺はとある山を一人で登っていた。

目的は山頂付近にある小さな祠。

毎年お盆には、そこに登って亡くなった祖父を偲んでいたのだ。

しかし今年は少し道を間違えたらしく、人気のない獣道に入ってしまったらしい。

辺りは徐々に暗くなり、不安が募る中、前方に人影が見えた。

「よかった、誰かいる」

安堵した俺は、その人影に向かって声をかけた。

「すみません!道に迷ってしまったみたいなんですけど…」

しかし人影はこちらを見る事もなく、立ち止まることなくこちらに向かって歩いてくる。

距離が縮まるにつれて、異様なことに気が付いた。

その人影は登山ウェアを着てザックを背負っているのだが…顔がないのだ。

顔の部分はただのっぺりとしている。

恐怖で声も出ず、ただ立ち尽くすことしかできない

それはだんだんと近づいてきて、やがてすぐそばを通り過ぎていった。

その瞬間、背筋が凍るような寒気を感じた。

そしてそれが通り過ぎた後、辺りはまるで時間が止まったかのように静まり返った。

 

俺は恐怖で体が震えるのを感じながら、さっき通り過ぎたのがいない事を確認し、少し時間を潰してから来た道を引き返した。

 

あれは一体何だったのだろうか。

もしかしたら、あの山で遭難した登山者の霊だったのかもしれない。

お盆の時期は、あの世とこの世の境目が曖昧になると言う。

もしかしたらあの時、あの世と繋がっていたのかもしれない。

それ以来、俺はお盆の時期に山へ行くことはなくなった。