ある夏の日の午後、小学四年生のK君たちは、学校が終わってから友達と一緒に山で遊んでいた。
彼らは虫取りや木登りに夢中になり、時間が経つのも忘れていた。
しかし夕方になり、太陽が沈み始めるとそろそろ帰る時間だと気づいた。
「もう帰ろうか。」
誰かがそう言い出し、みんなが荷物をまとめて帰る準備をしていた時だった。
「カランコロン」
どこからか不思議な音が聞こえてきた。
それは鈴の音というより、木製の小さなものが風に揺れてぶつかり合うような音だった。
K君たちは一瞬、足を止めて耳を澄ませた。
その音は確かに森の奥から聞こえてくる。
普段は聞いたことのない不気味な音に、彼らはお互いに顔を見合わせた。
「なんだろうね、あの音」
一人が不安そうに呟いたが誰も答えられなかった。
「ちょっと見に行こうか。」
K君は好奇心に駆られ、音のする方へと歩き出した。
友達も半ば恐る恐る彼について行く。
音は次第に大きくなり、彼らを森の奥深くへと誘っていく。
音のする方へ進むうちに周りの景色が次第に暗くなり、木々が鬱蒼と茂り、夕闇が迫る中、森の中は不気味なほど静まり返っていた。
やがて彼らは小さな祠にたどり着いた。
祠の前には古びた木で出来た風鈴のようなものが吊り下げられており、それが「カランコロン」と揺れて音を立てていた。
誰も触れていないはずの風鈴が、まるで見えない手に操られるかのようにゆっくりと揺れている。
K君たちはその場に立ち尽くした。
心臓の音が耳に響くほど静寂の中、風鈴の音だけがまるで彼らに何かを訴えかけるように響き続けていた。