怖い話と怪談の処

ブログ名の最後の文字は(ところ)と読みます。怖い話や不思議な話が大好きな方、是非ご堪能下さい。記事への★ありがとうございます。

森の奥から聞こえる歌

夏のキャンプの夜、高校生のS君たちは、4人でキャンプファイヤーを囲んでいた。

焚き火の明かりが揺れ、火のはぜる音が心地よく響る中、彼らは楽しげに歌を歌い、キャンプの楽しい時間を過ごしていた。

 

その時、どこからともなく森の奥から別の歌声が聞こえてきた。

それはまるでS君たちの歌に合わせるかのように、子供たちが楽しそうに歌っている声だった。

「ねえ、誰かいるのかな?」

A君が不思議そうに呟いたが、誰もその答えは分からなかった。

キャンプ場は他のグループがいなく、周囲にはS君たちだけしかいない。

友人たちと顔を見合わせ周囲を見回した。

もしかしたら他にキャンプ場があって、そこに人がいるのかもしれない。

そう結論付け、S君たちは気にせずに歌を続ける事にした。

だが次第にその森の奥から聞こえる歌声は、妙に耳に残るような感じがし、少しずつ不気味なものへと変わっていった。

最初は楽しい歌声だったはずが徐々に調子が外れ、声のトーンが不自然に高くなったり低くなったりしはじめる。

S君たちは次第にその声に恐怖を感じ始めた。

「やめよう、もう歌うのは」

B君が震える声で言った時、突然その森の奥からの歌声がピタリと止んだ。

急に静かになり、S君たちは息を呑んだ。

火のはぜる音がが再び響く。

その時、その静けさの中、何かが彼らを見つめているかのような圧迫感が漂い始めた。

誰ともなく立ち上がり、火を囲んでいた輪が崩れ始めた。

S君たちは何かを確認するように周囲を見回したが、そこにはただ闇と木々があるだけ。

「テントに入ろう、なんか変だよ」

誰かが言い出し皆が一斉にうなずいた。

火を消し、急いでテントに戻る準備を始めた。

その時、遠くから再びあの不気味な歌声が聞こえてきた。