怖い話と怪談の処

いつも☆くださる方、ありがとうございます。このブログは知り合いから聞いた話や、思いついた話を載せていきます。完全に自作した話やAIにアイデアを貰った話、心霊系動画に使えそうな素材等を置いていきます。

秋祭りの終わりに見た団体

これはBさんが体験した奇妙な話。

 

秋祭りの片付けが一段落し、Bさんは会場の片隅にあるベンチに腰掛けて一息つこうとしていた。

祭りの会場はさっきまでの賑やかさが無くなり、秋の冷たい夜風が肌に当たる。

そんな会場を見つめながら、今年ももう終わりか、と思っていた時だった。

ふと遠くから複数の足音が聞こえて来る。

最初は会場の片付けをしてる人の足音だろう、と気に留めなかったが、その音はどんどん近づいてくる。

 

気になったBさんが音の方を見てみると、暗闇の中からぼんやりと人影が見え始めた。

着物を着た大勢の人々が、無言でゆっくりとこちらに向かって歩いてきた。

明らかに会場の片付けをしている係の人たちより多い人数だ。

Bさんは驚いて立ち上がり、その人たちに声をかけようとしたが声が出なかった。

やがてその集団は無言のままBさんの前を通り過ぎ、遠くを見たまま無表情で歩き続けていく。

やがて彼らは遠くの林の方に向かい、そのまま音もなく消えてしまった。

 

Bさんはあまりの異様さに血相を変え、急いでまだ祭りの片付けをしている係の人たちの元に駆け寄り、そこの道を大勢の人たちが歩いて行ったかと聞いてみたのだが、誰もが

「そっちには誰も行ってないし、そんな人たちは見かけなかった」

と口を揃えて答えた。