大学のレポートを終えたのが夜中の1時過ぎ。
Sさんは住んでいるマンションの近くにある、24時間営業のコンビニに行こうと部屋を出た。
古びた6階建てのマンションは築30年以上で住人も少ない。
3階と4階は特に空室が多く、ほとんど使われていないと聞いていた。
エレベーターに乗り込むと、Sさんは1階のボタンを押してドアが閉まるのを待った。
深夜ということもあって、静かなエレベーター内には微かな機械音だけが響いていた。
エレベーターが動き始め、いつも通り1階へ向かう――はずだった。
だが途中で3階のランプが突然点灯し、エレベーターが止まった。
「誰も押してないのに…」
不思議に思いつつも何かの故障だろうとSさんは自分に言い聞かせた。
ドアがゆっくり開くと、そこには薄暗い3階の廊下が広がっていた。
その瞬間、冷たい風が吹き込んできた。
外は風が強いのか? だが廊下に窓はないはずだ。
辺りを見渡しても廊下には誰の姿もない。
ただ古びた壁とドアが続いているだけだった。
ドアが閉まりかけたその時――
エレベーターが一瞬揺れた。
まるで誰かが乗り込んだかのような感覚だった。
背筋に冷たいものが走ったSさんは、思わず周囲を見回した。
エレベーターの四隅には誰もいない。
だが視線を下げた時、床に影が見えた。
Sさん自身の影ではない。
隣に誰かが立っているような影だった。
何が何だかわからず固まっていると、ドアが閉まりエレベーターは再び動き始めた。
Sさんは慌てて1階に着くのを待ったが、1秒1秒がやけに長く感じられた。
ようやく1階に到着しドアが開く。
Sさんは急いでエレベーターを飛び出し、振り返るが中には何もなかった。
コンビニで気を落ち着かせようとしたSさんだが、帰り道にマンションのエントランスを見上げると、3階の廊下の窓に薄暗い影が一瞬揺れているのが見えた。