日付が変わり、新年を迎えたばかりの夜。
大学生のRさん、Oさん、Yさんの三人は、「肝試しに行こう」と軽いノリで、地方にある小さな丘の廃墟を目指していた。
車で丘のふもと近くにある駐車場に到着すると、辺りはひと気がなくひっそりとしていた。
夜の冷気が漂う中、三人は懐中電灯を片手に登り始めた。
丘といってもなだらかな道が続く程度で、話しながら歩いていればそれほど怖くないはずだった。
しかし、途中で何かが変わった。
木々の間からかすかな話し声が聞こえてきたのだ。
「誰かいる」
とRさんが周囲を照らすと、奥の林の中で小さな火の光が揺れているのが見えた。
「誰か焚き火してるのかも?」
とOさんが言う。
怖いもの見たさもあり、三人は懐中電灯を消してスマホのライトを一番暗くし、その光の方向に進んでいった。
やがて林の奥にそれが見えてきた。
そこにはいくつもの揺れる光が浮かんでいた。
空中にふわふわと漂うそれは、人魂や狐火のように見える。
不気味さが一気に広がる中、三人が引き返そうと小声で話していると、その光の中に人影が浮かび上がった。
その場に立ち尽くした三人の目に映ったのは、着物をまとった集団だった。
顔にはそれぞれ狐や鹿、鳥のような形の面をつけている。
「なんか普通じゃない、戻ろう」
Yさんの囁きで三人は一斉に駆け出した。
懐中電灯の光を頼りに、足元の枝や石を避けながらただ駐車場を目指して走る。
途中、背後で葉が揺れる音や、風に紛れて何かの声が聞こえる気がしたが、振り返る余裕はなかった。
やっとの思いで駐車場にたどり着き、車に飛び乗るとエンジンをかけた。
ほっとしたのも束の間、車のライトが丘の方を照らした瞬間、そこにさっきの動物面の集団が立ち並んでいた。
微動だにせず、ただこちらを見つめているようだった。
3人は怖くなり必死に「ごめんなさい!」と頭を下げて何度も謝罪した。
しばらくしてから顔をあげてみると、集団はふっと姿を消したという。