週末、Mさんたちは仕事の残業を終え、コンビニで買い物をしてから深夜の閑散とした街を歩いていた。
都会の喧騒はすっかり消え、街灯の淡い光だけが道を照らしていた。
「少し先に誰かいるな」
同行していた友人が小声でそう言った。
目を凝らしてみると街灯の下に立つ影が見えた。
最初は酔っ払いかただの通行人だと思っていたが、近づくにつれて違和感が募る。
その影は異様に背が高く、普通の人間とはどこか違うシルエットをしていた。
街灯に照らされたその姿は肌が不自然な灰色で、目はぎょろりと大きく開いている。
長い腕はだらりと下がり、無表情な顔がじっとMさんたちの方を見つめていた。
「これ、ヤバくないか?」
一人が声を震わせながら言う。
逃げようにも帰り道はその生き物のすぐ横を通らなければならない。
一歩踏み出すたびに鼓動が早くなり、足は重く冷や汗が背中を伝う。
すると静止していたその生き物が突然動き出した。
ぎくしゃくとした動きで道の反対側へ向かい、路地の隙間に消えたのだ。
誰もその場から動けずただその姿を見送るしかなかった。
ようやく動けるようになったMさんたちは走り出し、友人たちが
「今日お前の家に泊まっていいか!?」
と言われ、Mさんはそうしてくれと返事をした。
やがてMさんの家についたMさんたちはMさんの部屋で眠れずに過ごしたという。
翌日になり、冷静になったMさんたちは「あれは何だったんだろう」と話し合い、街灯の下に行ってみることにした。
だがそこには何の痕跡もなく、不自然な気配も感じられなかった。
ただひとつだけおかしなことがあった。
街灯の柱には、無数の灰色の手形のようなものが残っていたという。
それはまるで誰かがその場にいたことを主張するかのように、柱全体に刻まれていたそうだ。