Sさんが中学生くらいの時の事で、夏休みに毎年恒例の祖母の家にお泊りしにいった時の事。
古びた和室で過ごしていると、押し入れの中から何かが落ちる音がした。
気になって中を覗くと、押入れの上の段の箱の上に埃をかぶった古いアルバムが置かれていた。
重厚な装丁で、年代物らしいそのアルバムには見覚えがなかった。
どこから落ちてきたんだろう?と押し入れの上を見るが上には天井板があるだけ。
まあいいか、とアルバムに興味を引かれたSさんは、アルバムを部屋のテーブルの上で開いてページをめくり始めた。
最初の数ページには家族写真や観光地の写真が並んでいたが、途中から一人の女性の写真ばかりになった。
どの写真も女性が真顔でカメラを見つめており、不気味な印象を与えた。
怖くなったSさんは、アルバムを閉じて押し入れに戻した。
翌朝、目を覚ますとアルバムが机の上に置かれていた。
寝る前に押し入れにしまったはずなのに――。
恐る恐るページを開くと、見知らぬ女性の写真が一枚増えていた。
その写真はカメラに近づいているのか、肩から上の方しか映っていない。
さすがに気味が悪くなったSさんは、祖母と母親にアルバムを見せてみた。
しかし二人ともそのアルバムに覚えがなく、写真の女性についても全く心当たりがないという。
困り果てたSさんたちは近くのお寺を訪ね、住職に相談した。
事情を聞いた住職は「ここに預けていきなさい」とアルバムを受け取った。
供養をしてもらう手筈が整い、Sさんはほっと胸をなで下ろした。
その後、アルバムが戻ってくることはなかったが――時折、Sさんは写真の中で見たあの女性が夢に出てくるという。
夢の中で女性は何も言わず、ただじっとSさんを見つめているそうだ。