怖い話と怪談の処

ブログ名の最後の文字は(ところ)と読みます。怖い話や不思議な話が大好きな方、是非ご堪能下さい。記事への★ありがとうございます。

山間のキャンプ場で見つけた日記

Sさんが体験した話。

 

友人たちと訪れた山間のキャンプ場でのこと。

彼らはキャンプ場から少し離れた森の中を探索していた。

その途中、苔むした倒木の隙間に何かが挟まっているのを見つけた。

それはビニールに包まれた古びた日記だった。

カバーは湿気で傷んでいたが、中のページは意外にもはっきり読める状態だった。

興味を惹かれたSさんたちは、その場でページをめくり始めた。

日記には数年前、この場所でキャンプを楽しんだ人々の記録が残されていた。

 

最初は笑い声が聞こえてきそうな、楽しげな思い出が綴られていた。

しかしページを進めるにつれ、内容が次第におかしな方向へと変わっていった。

 

「夜中に妙な声が聞こえた。

低くうめくような声で近づいてくるような気がして、耳を塞いでも止まらなかった」

 

「森の奥から誰かがこちらを見ている気がする。

影のようなものが木々の間を動き、視線を感じるたびに足がすくんだ」

 

「友人のMが朝起きたら姿を消していた。

テントの周りには乱れた足跡が残っていて川の方へ続いていたが、そこから先は何も分からなかった」

 

Sさんたちは次第に無言になり、手が止まることも多くなった。

それでも好奇心に負けて最後まで読み進めた。

終盤の日記には、持ち主が感じた恐怖と混乱が赤裸々に綴られていた。

そして最後のページには、震えるような筆跡でたった一言だけが書かれていた。

 

「振り返るな」

 

その瞬間、彼らは背筋が凍りついた。

意味もなく周囲の気配を感じ息を潜める。

振り返りたい衝動に駆られたが、言葉に従って必死に堪えた。

 

その後、足早にその場を離れたSさんたちは無事キャンプ場へ戻ったが、日記を持ち帰ることはしなかった。

後日、Sさんは調べてみたがその日記についての記録や、そこに記されていた人物がどうなったのか、何一つ分からなかったと言う。