怖い話と怪談の処

ブログ名の最後の文字は(ところ)と読みます。怖い話や不思議な話が大好きな方、是非ご堪能下さい。記事への★ありがとうございます。

トンネルに潜むもの

Tさんが大学生の頃の話だ。

サークルの友人たちと肝試しに行こうということになり、郊外にある使われなくなったトンネルを訪れた。

地元では「何かがいるトンネル」と噂されている場所だった。

 

夜の10時過ぎ、トンネルの入口に着くと薄い霧が立ち込め、錆びた標識が幽かに揺れていた。

全員で懐中電灯を片手に、ゆっくりとトンネルの中へ足を踏み入れた。

壁には無数の落書きがあり、湿った空気がまとわりつく。

時折天井から水滴が落ちる音が響き、静けさが一層不気味さを増していた。

しばらく進むと、奥からカラカラと何かが転がるような音が聞こえた。

音のする方向にライトを向けると、錆びた古い缶が転がっているのが見えた。

「誰かいるのか?」

としばらくその方向を見ていたが誰も現れない。

進むべきか引き返すべきか迷っていると、ふいに背後から「寒い…」という囁き声が聞こえた。

振り返ったが誰もおらず、誰だよ脅かすのは?と皆で言い合い、怖さを誤魔化した。

皆で恐る恐る奥へと進むと、トンネルの壁際に奇妙な影が見えた。

人の形をしているようだが全身が異様に黒く、顔の部分がぼんやりと霞んでいた。

友人の一人が「やばい、逃げるぞ!」と叫び、その声を合図に全員が走り出した。

 

慌てて出口に辿り着き一息ついて振り返ると、影のようなものはもう見えなかった。

だが安堵する間もなく、一人が突然叫んだ。

「おい、お前の肩!」

Tさんの友人の肩に、まるで子供の手形のような汚れがくっきりとついていた。

それに気づいた全員が悲鳴を上げ、友人は慌てて手形を振り払おうとしたが、汚れはなかなか落ちない。

「もう帰ろう!」と誰かが叫び、全員でその場を駆け出した。

ちなみに汚れは水で擦ったら落ちたそうだ。