Tさんから聞いた話。
大学時代、Tさんにはよく遊ぶ仲間が3人おり、どこに行くにも一緒だった。
そのうちの1人、Yさんは写真に写るのが苦手というタイプではなかったが、ある日を境に少しずつ様子がおかしくなっていった。
きっかけは旅行先での集合写真だった。
Tさんがスマホで撮った1枚、みんなが笑っている中、Yさんの顔だけがぐにゃりと歪んでいた。
ピントがずれたかと思いすぐに撮り直したが、やはりYさんの顔だけがぼんやりしている。
Tさんは「光の加減かな」と気にしなかった。
けれど帰ってからも、Yさんの写る写真だけがどれも顔の部分だけが、ぽっかり抜けているように歪んでいた。
「なんか…変じゃない?」
とTさんが他の友人たちと話していると、Yさん自身も気にしていたのか、急に怒りっぽくなり
「気にしすぎだって言ってるだろ」
と苛立った口調で言うようになっていた。
そんなやり取りが続いていたある週末の夜、TさんたちはTさんの部屋に集まる予定だった。
しかし集合時間になってもYさんが来ない。
連絡をしても繋がらない。
仕方なく様子を見に行ったTさんは、Yさんのアパートの前で足を止めた。
――窓が開いている。
カーテンが風に揺れていた。
中を覗き込むとテーブルにスマホが置かれており、その画面には――最後に撮られた、Tさんたちと一緒に写っている集合写真が表示されていた。
けれどその写真にもYさんの顔がなく、白くくり抜かれたようにぼやけて消えていた。
その日を境にYさんの行方は完全に途絶えた。
Yさんの親にも連絡し、親が警察に届けを出したのだが何の手がかりもない。
Tさんは今でもスマホのカメラを使うたび、ほんの少しだけ――自分の顔が写っていないのではないかと、不安になることがあるそうだ。