怖い話と怪談の処

あなたが今読んだその話、本当に「作り話」だと言い切れますか?

拾ってきた古い木の棒

大学の夏休み、仲の良い友人3人組、行動派のAさん、慎重なBさん、ムードメーカーのCさんたちは、都会の喧騒を離れ、人里離れた山奥のキャンプ場へとやってきた。

時間は午後2時を少し過ぎたくらいで、各自が持ち寄ったアウトドアグッズを広げ、慣れない手つきでテントを設営したりしていた。

 

テントの設営が終わるとまだ陽も高かったので、彼らは少しだけ周辺を探索することにした。

AさんとCさんは興味津々に森の奥へと足を踏み入れ、珍しい植物を見つけては写真を撮ったり、小さな沢を見つけては涼んだりした。

 

夕飯を食べ終わった頃には夜も更け、皆で焚き火の周りに座り、冷えた飲み物を飲みながらたわいもない会話を楽しんでいた。

日常のあれこれを語り合う中で、自然とこのキャンプ場にまつわる古い話へと移っていった。

「この山、昔は修行僧がいたって話だぜ。

で、修行を挫折した奴が夜な夜な岩を叩いてたとか…」

Aさんがそう言うと、Cさんが

「なんで挫折して岩を叩くんじゃーい!」

とツッコミを入れたりして騒いでいた。

 

その時だった。

彼らの話し声に混じり、遠くから何かを叩くような不規則な音が聞こえてきた。

ゴンッ、ゴンッ…。

まるで硬いものぶつかり合うような、鈍い響きだ。

何の音だ?と耳を澄ますと、その音は森の中から聞こえる。

Cさんが「おいおい、まさか本当に修行僧かよ?」と冗談めかして言ったが、皆言葉を失っていた。

ゴンッ、ゴンッ…。

その音は彼らが囲む焚き火のすぐ外側、ほんの数メートル先から聞こえる。

不意に焚き火の炎が大きく揺らめいた。

パチパチという音と共に、燃え盛る炎が一瞬だけ人の形に見えた。

手足が長く、ゆらゆらと揺れる痩せこけた影のような形。

その影は、彼らをじっと見つめているように思えた。

Aさんが「おい、これ、なんだよ…」と震える声で呟いた。

誰もが目の前の光景に息を飲んだ。

影は一瞬で消えたが、その残像は彼らの目に焼き付いて離れない。

 

ゴンッ、ゴンッ…。

音がすぐ近くで聞こえる。

まるで彼らのすぐ後ろに、何かが立っているかのようだ。

そして鼻を衝くような、嫌な匂いが漂ってきた。

 

Cさんが、「くっさっ!誰だ!?」と言ったその時だった。

テントの中から「ガタガタ」と激しい物音がした。

まるで誰かが中で暴れているかのようだ。

Aさんは慌ててテントのファスナーを開けたが、中には誰もいない。

散らかった荷物の横に、彼らがなんとなく持ってきた古い木の棒が転がっていた。

その棒には、乾いた泥のようなものがこびりついている。

Aさんはその棒を掴み、森の中に投げた。

すると変な現象が起きなくなったという。

 

翌朝、彼らは簡単に朝食を済ませ、すぐにテントを片付け始めた。

Aさんは、昨夜の出来事が忘れられず、改めてキャンプ場を観察した。

すると焚き火の燃え跡のすぐそばに、不自然な足跡が残されているのを見つけた。

それは人間のものではない。

裸足のようにも見えるが指の形が異様に長く、まるで何かの獣のような、それでいて人間に近い奇妙な足跡だった。

そしてその足跡は、キャンプ場の奥にある、鬱蒼とした森の中へと続いていたそうだ。