夜勤のBさんは、いつものように仮眠を取るために休憩室へ向かったのだが、4つあるのベッドがすべて使用中だった。
仕方なく、誰かが起きてくるまで仕事を片付けることにした。
しばらくすると、3人の同僚が起きてきてBさんに声をかけた。
「あれ?Bさん、まだ仮眠取ってないんですか?」
Bさんは、仮眠室のベッドが4つ埋まっていたから使えなかったと説明した。
すると同僚たちは不思議そうな顔で言う。
「廊下側が1つ空いてたじゃないですか」
「そんなはずはない、確かに4つ埋まってたよ」
Bさんはそう説明したが、同僚たちは納得しない。
今日の夜勤は6人しかおらず、寝ていた同僚が3人、そして今この部屋にいるBさんを含めた同僚が3人だというのだ。
つまり、ベッドは3つしか埋まっていなかった事になる。
「寝ぼけて4人寝てるように見えただけでしょう」
そういうことになったが、Bさんの心には引っかかるものがあった。
自分が見たのは、布団から出ている顔が3つと、廊下側にいて反対側を向いて寝ているであろう人の後ろ髪だった。
見間違いだとは思えなかった。
しかし同僚は口々に「見間違いだ」と言うばかりで、それ以上追求する雰囲気ではなかった。
Bさんは釈然としないまま、再び仕事に戻った。
数日後、同じ夜勤の時に再びBさんは仮眠を取ろうと休憩室へ向かった。
今度はベッドが2つ空いていた。
ほっとしながらBさんは空いているベッドに横になった。
しかしどうにも寝付けない。
妙な視線を感じるのだ。
ゆっくりと目を開けると天井の隅に、黒い染みのようなものがうっすらと見えた気がした。
目を凝らすと、それは少しずつ形を変えているようにも見えた。
疲れているせいか、とBさんは目を閉じた。
その翌週の夜勤。
Bさんは休憩室で仮眠を取ろうと、いつものようにベッドに横になった。
この日使ったのが廊下側のベッド。
これがいけなかったのか、今までとは違う奇妙な違和感に襲われた。
身体が重い。まるで何かに押さえつけられているかのようだ。
目を開けることもできず、Bさんは身動きが取れない。
呼吸も苦しい。その時、耳元で何かが囁かれた。
内容までは聞き取れないが、不気味で冷たい声がBさんの意識を深く沈めていく。
翌朝、夜勤明けのBさんは、ひどい頭痛と吐き気に襲われてしまい、家に帰ってから薬を飲んで寝込んでしまったそうだ。
それからというもの、Bさんは休憩室のベッドで仮眠を取ることができなくなったそうだ。