大学生のYさんたちが、夏休みを利用してハイキングに訪れたのは、人里離れた静かな山だった。
彼らが予約していたのは、古びた山小屋。
到着した山小屋は想像以上に年季が入っていて、木の床は歩くたびに軋んだ。
どこかひんやりとした空気が漂い、彼らの他には誰もいないようだった。
その夜、疲れ切ったYさんたちは、早々に深い眠りについた。
真夜中、Yさんは妙な音で目を覚ました。
意識がはっきりしない中で、その音の発生源を探ると、どうやら二階から聞こえてくるようだった。
耳を澄ますと、それは板張りの廊下を「ぺタ、ぺタ」と響く足音だと気づく。
その音は誰かが裸足で歩いているような、湿り気を帯びた音に聞こえた。
Yさんは一瞬、仲間の誰かが二階に行ったのかと思ったが、その足音はあまりにも不規則でゆっくりだった。
山小屋には自分たち以外に誰もいないはずだ。
Yさんはだんだんと怖くなってきた。
足音はやがて、ゆっくりと階段を下りてくるのが分かった。
一段、また一段と、だんだん自分たちのいる階に降りてくる。
Yさんは布団の中で息を潜め、じっとその音を聞いていた。
そして足音は、ついに自分たちの部屋のドアの前で止まった。
Yさんは固唾を飲む。ドアの向こうに何かがいる。
恐怖で体が動かない。
一瞬の静寂の後、また「ぺタ、ぺタ」という足音が聞こえ始めた。
どうやら廊下を行ったり来たりしているようで、音が遠ざかったり近づいてきたり繰り返している。
Yさんは、朝まで一睡もできず、布団の中で身を固くして耐え忍んだ。
外が白み始め、鳥の声が聞こえ出す頃、足音はまた二階へと上がっていった。
恐怖が薄れていくのを感じながら、Yさんはようやく重い体を起こした。
やがて友人たちが起き出したので、友人たちに昨夜の出来事を話したが、誰も信じてはくれなかった。
確かめに行ってみよう、とYさんが言うと、友人たちは面白そうだ、と言って立ち上がった。
Yさんたちは恐る恐る二階へ上がってみたのだが、どの部屋にも誰もいなかった。
Yさんは腑に落ちなかったが、夢でも見てたという事にしたそうだ。
一体あれは何だったのか。