怖い話と怪談の処

ブログ名の最後の文字は(ところ)と読みます。怖い話や不思議な話が大好きな方、是非ご堪能下さい。記事への★ありがとうございます。

【動画あり】廃校舎の廊下を歩く女性

www.youtube.com

「本当に出るのかよ、幽霊なんて」

Fくんが笑いながら言った。

夕暮れの空が赤から紫に変わる頃、彼と友人のKくん、Mくんの三人は、町外れにある廃校舎の前に立っていた。

この学校は十年以上前に閉鎖され、今では誰も近づかない場所だった。

だが最近、「夜になると廊下に女の幽霊が現れる」という噂が一部で広まり、好奇心旺盛なFくんたちは確かめに来たのだった。

 

校舎の扉は錆びていたが、鍵はかかっていない。

ギィ…と音を立てて開くと冷たい空気が流れ込んできた。

三人は懐中電灯を手に、ゆっくりと廊下を進んでいく。

「なんか…寒くなってきたな」

Mくんがつぶやく。

確かに外よりもずっと冷たい。

しかも、足元には白い霧のようなものが立ち込め始めていた。

「霧?なんでこんなとこに…」

Kくんが懐中電灯を向けるが、霧は光を吸うようにぼんやり広がっている。

 

そのときだった。

廊下の奥、教室の前にぽつんと座る人影が見えた。

女のようだった。

長い髪が顔を隠し、白い制服のような服を着ている。

動かずただそこにいる。

「誰だあれ」

Fくんの声が震えた。

三人は立ち止まり息を呑んだ。

女はゆっくりと立ち上がり、こちらを向いた。顔は髪で隠れて見えない。

それでも確かに三人を見ていると分かった。

次の瞬間、女は無言のまま歩き始めた。

足音はなく、霧の中を滑るように近づいてくる。

「逃げよう!」

Kくんが言ったが誰も体を動かせない。

全身が凍りついたようで、その姿から目を離せなかった。

女はFくんの目の前まで来た時、ようやく顔が見えた。

沈んだ黒い目、そして微かに笑っているような口元。

 

次の瞬間──彼女の姿は霧とともにふっと消えた。

 

三人はそこで一斉に息を吐き出した。

張り詰めていた緊張が切れ、体が急に動くようになった瞬間Mくんが叫んだ。

「逃げろ!!」

三人は反射的に走り出した。

木の床に足音が鳴り響き、霧をかき分けながら廊下を駆け抜ける。

扉を押し開けると夜の冷たい空気が流れ込み、三人は校舎の外へ飛び出した。

 

しばらく走り続け、校舎から十分に離れたところでようやく立ち止まる。

肩で息をしながら互いの顔を見ると、誰もが青ざめていた。

「見たよな…あれ、絶対人じゃないよな」

「夢じゃないよな…」

震える声で確認し合うが答えは出ない。

ただ恐怖だけが残った。

 

その夜、三人は一人で帰るのが怖くなり、Fくんの家に泊まることにした。

部屋の明かりをつけ、ゲーム機を起動し、無理やり明るい雰囲気を作ろうとする。

コントローラーを握りながらも、ふと沈黙が訪れる。

思い出すたび喉の奥が冷たくなる。

結局朝までゲームを続け、誰も眠ることなく夜を越えた。