知り合いが冬山で雪洞を掘っていた時のこと。
シャベルで雪を掘り進むと、雪洞の奥の壁が急に揺れ始めた。
何事かと近づくと、いきなり壁から、白くふわふわしたものが飛び出してきた。
どうやら雪洞の途中に隠れていたらしい。
彼の驚きの声を聞いて集まった仲間の見たものは、彼の身体に抱きついている巨大な毛玉だった。
真っ白な毛並みに、長い耳のようなものが付いている。
ウサギに似ていたが信じられないくらい大きくて、手足も太かったという。
それは彼から離れると、意外に臆病な様子で雪洞から逃げ出してしまった。
しばらくすると彼は寒気を訴え、急いで山小屋に戻ったという。
彼いわく、その毛玉は以上な程に冷たく、まるで氷を持っているかのようだった。
との事だ。