ある夜、大学の友人たちと肝試しをすることになった。
俺、A、B、C、Dの5人で、キャンパスの裏山にある廃墟に向かった。
噂では、そこには幽霊が出ると言われていた。
夜中の12時、懐中電灯を片手に俺たちは廃墟に到着した。
入り口には「入るな」と書かれた古びた看板があったけど、もちろん無視して中に入った。
中は埃っぽく、長い間人が来ていない感じがした。
Aが先頭で進み、Bが後ろからついてきた。
CとDはふざけて時折「うわあ!」と叫んで驚かそうとしてきた。
しばらく進むと大きな部屋にたどり着いた。
天井には大きなシャンデリアがぶら下がっていて、見るからに怪しい雰囲気だった。
ここでしばらく怖い話をして過ごすことにした。
「ねえ、聞いたことある?この家には首のない幽霊が出るんだって」
とCが怖い話を始めた。
皆笑いながらも少し緊張していた。
その時、突然Dが「トイレ行ってくる」と言って一人で部屋を出た。
俺たちはそのまま怖い話を続けていたが、なかなかDが戻ってこない。
「D、遅いな。何してんだ?」
とAが心配そうに言った。
その時、遠くからDの悲鳴が聞こえた。
「うわあああ!」
皆で一斉に声のする方へ駆け出した。
廊下を走り、トイレの前にたどり着くとDが顔を真っ青にして震えていた。
「どうしたんだ、D!」
とBが問いかけた。
Dは震える声で、
「トイレに入ったら、いきなり後ろから誰かに肩を叩かれたんだよ!
振り向いたら誰もいないんだ…でも、その手がまだ俺の肩に触れてる感じがするんだ!」
と言った。
俺たちは「おいおい、そんなの気のせいだろ!」とDに言った。
しかしその時、AがふとDの肩を見て驚愕の表情になった。
「おい、Dの肩に本当に手があるぞ…」
とAが言った。
その瞬間、全員がDの肩を見た。
確かにDの肩にぼんやりとした白い手が乗っていた。
全員が叫び声を上げ慌ててその場を逃げ出した。
外に出るとDが笑いながら、
「実はさっきの手は俺のいたずらだよ!」
と言った。
どうやら彼は、半透明なビニール手袋を使って驚かせたようだ。
「お前、本当にビビったじゃないか!」
と俺たちはDを責めながらも笑った。
その後、キャンパスに戻るとAが
「でもあの手、どうやってあんなにリアルに見せたんだ?
とてもじゃないけど手袋には見えなかったぞ」
と疑問を投げかけた。
Dは
「どうやってって、手袋の中に空気を入れて肩に乗せてただけだよ」
と言ったが、Aは、空気を入れただけの手袋がバランスよくずっと肩に乗ってるはずがない。
と思ったがその場では言わなかったそうだ。