怖い話と怪談の処

あなたが今読んだその話、本当に「作り話」だと言い切れますか?

黒い塊から聞こえる音

会社員として働いているKさんが、二十代半ばの頃の話。

 

十一月の上旬、紅葉を楽しもうと、Kさんは一人で山奥にある静かなキャンプ場を訪れた。

季節の変わり目ということもあり、その日の利用者はKさんだけだった。

 

夜になり、山の中は風もなく、周囲はしんと静まり返っていた。

冷気が満ちる中、Kさんはテントの中でランタンの明かりを頼りに、穏やかな時間を過ごしていた。

その静寂を破ったのは、唐突な音だった。

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十五夜のススキの影

秋の十五夜の夜、Kさんは祖父から奇妙な言いつけを受けていた。

「十五夜の月明かりの下に伸びるススキの影は、絶対に踏むなよ」

理由は語られなかったが、祖父の真剣な眼差しが印象に残る。

 

夜が更け、家の中が静まり返った頃、Kさんは言いようのない好奇心に駆られていた。

ただの植物の影をなぜ踏んではいけないのか。

それを確かめたくなり、Kさんはこっそり家を抜け出し、裏山のススキ野原へと向かった。

 

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物置小屋の横にいた黒い塊

Sさんが大学生だった頃のお話。

 

中秋の名月の夜、地方の実家に帰省していたSさんは、一人で縁側に腰掛けて夜空を見上げていた。

雲ひとつない澄み渡った空に浮かぶ丸い月が、静まり返った庭の草木を白々と明るく照らし出している。

 

風もなく、虫の音すら聞こえない妙な静寂の中、Sさんはふと庭の隅にある物置小屋の横へ目をやった。

そこに何かがある。

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誰もいない待合室

歯医者の定期検診のため、夕方の静まり返った院内に入ったOさんの話。

 

自動ドアをくぐり抜けると、いつもであれば消毒液の匂いと控えめなBGMが流れているはずの空間が、妙に重苦しい静けさに包まれていた。

受付のカウンターには誰の姿もなく、奥の診察室からも、歯を削る機械の音や器具がぶつかるような気配は一切聞こえない。

Oさんは少し首を傾げながらも、消毒液で手を済ませてから、待合室の隅にある柔らかな椅子に腰掛けた。

 

待合室の窓の外では、夕暮れの空が少しずつ紫色の闇へと溶け込んでいく。

 

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消えた駐車スペース

会社の仕事を終え、夜遅くに帰路についた会社員のRさんの話。

 

連日の残業を終え、日付が変わる頃に最寄り駅の近くまで戻ってきた。

自宅のアパートには専用の駐車場がないため、少し離れたところにある月極駐車場を契約している。

アスファルトが敷き詰められたその場所は、夜間になると街灯の光がまばらに届くだけの、静まり返った空間になる。

Rさんは愛車のハンドルを切り、毎晩のように停めている指定番号の区画へと向かった。

 

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残された録音

フリーランスのWさんの話。

 

古いアパートの部屋で、日付が変わる頃までパソコンに向かっていた。

作業を終えてスマートフォンを手に取ったとき、何気なく開いたボイスメモアプリに、見覚えのないデータが保存されていることに気づく。

ファイルの長さはわずか数秒だった。

 

自分で録音ボタンを押した記憶はない。

不審に思いながらも、Wさんは画面をタップして再生ボタンを押した。

 

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助手席がへこんでいる

秋の深まった深夜、郊外へと続くバイパスを車で走っていたHさんの話。

 

仕事の残務に追われ、帰路についたのは日付が変わる頃だった。

疲労感からか、車内の空気が妙に冷たく感じられ、Hさんはエアコンの温度を少し上げた。

しかし、暖房を利かせても、足元や後部座席の方から底冷えするような冷気がジワジワと這い上がってくる。

気分の悪さを覚えながらも、ハンドルを握りしめて前を向いた。

 

しばらく走った時、なんとなくバックミラーに目をやった時、視界の端に違和感を覚える。

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