怖い話と怪談の処

このブログは知り合いから聞いた話や、思いついた話を載せていきます。完全に自作した話やAIにアイデアを貰った話、心霊系動画に使えそうな素材等を置いていきます。使用したい場合はこのサイトについてを、画像素材は画像素材のTOPの注意事項を必ず読んで下さい。

小さな赤い毬

ある夏の夜、私は田舎の祖父母の家で従兄弟たちと遊んでいた。

家は古い木造家屋。

 

私たちはかくれんぼをして遊んでいて、私は一番年下の従兄弟(女の子でAちゃんとする)を見つけようと座敷に向かった。

座敷はシーンと静まり返っているのだが、襖に隠れているかもしれないと座敷に足を踏み入れた。

ポンと足に柔らかいものが触れた。

見てみると、小さな赤い毬がコロコロと転がっている。

不思議に思って手に取ってみると、毬はひんやりと冷たい。

 

しばらく眺めていると、何それ!と声と同時に一番下のAちゃんが飛び出してきた。
私は

「いや、足元に落ちてたんだけどAちゃんのじゃないの?」

と言いながらAちゃんに毬を渡した。

そんなやりとりを聞きつけたらしく、他の従兄弟も集まってきてその毬を触ったり眺めたりしている。

 

やがてその毬を投げたりついたりして遊び始めた時、隣の座敷の方からガタッと物音がし始めた。

なんだろう?と皆で見ていると、襖がスーッとゆっくり開く。

私たちは声を失い、開いていく襖を眺め続ける。

開いた襖の奥には薄暗く、やけに奥深い座敷が広がっており、その真ん中くらいに何かが蠢いているような影が見えた。

恐怖を感じながらも私は好奇心に勝てず、その座敷に近づいていった。

そこには赤っぽい着物をきて、おかっぱ頭のような髪型をした小さな子供が立っている。

私は恐怖で声も出ない。

他の従兄弟も同じなのであろう、後ろからは小さい悲鳴のような声が聞こえる程度だった。

 

私は襖を閉めないと!と考えて、どうにか体を動かそうとしていると

「その毬、私の。返して。」

と言ってきた。

私は

「え、あ、ああ、毬、毬ね。

わかった、今返すね。」

となんとか答え、震える手と体で従兄弟からボールを受け取り、毬を転がして返した。

 

その子は毬を受け取ると、ありがとうと言った。と同時に襖がピシャっと閉まった。

私と従兄弟はしばらく固まっていたが、Aちゃんが突然走りだし襖を開けた。

その先にあったのは、いつもの座敷の部屋だった。