怖い話と怪談の処

このブログは知り合いから聞いた話や、思いついた話を載せていきます。完全に自作した話やAIにアイデアを貰った話、心霊系動画に使えそうな素材等を置いていきます。使用したい場合はこのサイトについてを、画像素材は画像素材のTOPの注意事項を必ず読んで下さい。

岩場の影から覗いている

私の知り合いAは、子供の頃に山奥にある小さな村で育ち、近所の子供たちとよく山の中にある河原で遊んでいた。

 

ある夏の日、Aたちはいつものように河原で遊んでいたが、ふと岩場の影に人のようなものが、顔だけ半分出してこちらを覗いているのを見つけた。

「あそこに誰かいる」

と指を指して言ったのだが、他の子には見えないらしく、どこ?と言っている。

そこの岩の後ろだよと言って、Aは岩場へと近づいていった。

 

岩場に到着するとさっきいた人のようなものはいない。

辺りを見渡したが誰も見当たらない。

Aは首を傾げながら元の場所へと戻った。

 

その夜、Aは夢を見た。

夢の中で再び岩場の影に人のようなものがいる。

そのものはAに向かって手を伸ばし

「こっちへ…来なさい…」

とか細い声で手招きしている。

気になったAは、手招きをしている人が誰なのか、じっくり顔を見ながら近づいていった。

すると突然後ろから

「そっちに行っちゃだめだ!」

と大声がした。

Aはびっくりして目が覚めて起き上がってしまった。

何だったんだ?と思いながら寝直した。

 

次の日、昨日の事が気になったAは、再び河原へと向かった。

到着してしばらくした時、岩場の影に昨日と同じように人のようなものが、顔だけ半分出してこちらを覗いている。

Aは恐怖を感じながらも、そのものに向かってゆっくりと近づいていった。

そして、そのものに手を伸ばそうとした瞬間、

「そっちに行っちゃだめだ!」

という大声が後ろから聞こえた。

 

びっくして振り返ると、そこには見知らぬお爺さんが立っていた。

お爺さんは、真剣な顔つきでAを見つめている。

Aはお爺さんに言われた意味が分からず、

「どうしてですか?」

と尋ねた。

お爺さんは何も答えず、ただAをじっと見つめている。

その瞬間、岩場の方から「チッ」という舌打ちのような音が聞こえた。

 

Aが音の方を見ると、岩場の影から人のようなものが消えていくのが見えた。

Aはびっくしてお爺さんの方をみると、お爺さんは何も答えず、ただ微笑み、そのまま踵を返して立ち去って行く。

Aは震える足でなんとか走り、お爺さんのいる方に行ったのだが、どこにも見当たらなかった。