怖い話と怪談の処

このブログは知り合いから聞いた話や、思いついた話を載せていきます。完全に自作した話やAIにアイデアを貰った話、心霊系動画に使えそうな素材等を置いていきます。使用したい場合はこのサイトについてを、画像素材は画像素材のTOPの注意事項を必ず読んで下さい。

台車を押す作業着の人

これは知り合いのUさんから聞いた話。

 

Uさんは家から駅までが遠く、いつも近道のために墓地の中を突っ切って通勤していた。

ただ、残業で20時を過ぎてしまうとさすがに怖いので、遠回りをして帰っていたそうだ。

ある日、Uさんは会社の飲み会で遅くなってしまった。

最寄りのバス停を降りて時間を見ると、もう0時を回っていた。

いつもなら遠回りするところだが、その日は少し酔っていたこともあり、一刻も早く帰りたい一心で墓地を突っ切ることにした。

9月だというのに、墓地に入った途端、ひやりとした肌寒さを感じた。

それでも歩みを進めていると、背後から「ガタガタッ」とか「ゴロゴロ」という音が聞こえてきた。

なんだろう?と振り返ると、そこには台車に大きな段ボールを積んだ姿があった。

え?何?と見ていると、それを押す作業帽に作業着を着た人の姿も見えた。

こんな時間に何をしているのだろう?と疑問が浮かんだが、なぜか直視するのが怖く、Uさんはすぐに顔を前に戻して歩き出した。

 

しばらくの間「ガタガタゴロゴロ」という音はUさんのすぐ後ろをついてきた。

早く墓地から出たいと焦る気持ちと、得体の知れない恐怖に耐えながら歩いていると、突然音が止んだ。

不思議に思って恐る恐る振り返ると、そこには何もない。

台車も作業着の人も忽然と消えていたのだ。

何が起こったのか理解出来なかったが、怖くなったUさんは走って墓地を抜け出した。

 

それ以来、Uさんはどんなに遅くなっても墓地を通ることはなくなり、遠回りをして帰るようになったそうだ。