怖い話と怪談の処

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廃墟ビルの会議室

この話はまた同じ面子で懲りずに廃墟にいった時の話。

↓前回

 

ある夏の金曜日の夜、相変わらず会社で残業していた私は、佐藤と山田に廃墟ビルに潜入してみることを提案した。
「なあ、今度◯◯にある廃墟ビルに潜入してみないか?」
佐藤が
「この前あんな事があったのにお前も好きだねー」
とニヤニヤしながらもちろん行くと返事をもらい、山田の方も気乗りしない感じだったようだけど、結局行くという事になった。

 

雨の降る夜、現地に到着した私たちは、懐中電灯を手に廃墟ビルへと向かった。
ビルの入り口は蔦に覆われ、薄気味悪い雰囲気を醸し出していた。
「本当にこんな場所で大丈夫なのか?」
山田は不安そうにあたりを見渡していた。
「大丈夫だよ、中は意外と綺麗らしいし。」
私はそう言ってビルの扉を開けた。
中に入ると、そこは薄暗い空間が広がっていた。
埃まみれの床には、かつて使われていたであろうデスクや書類が散乱していた。
壁には落書きが描かれ、天井からは雨漏りの跡がいくつも確認できた。
「うわ、すごい場所だね」
佐藤は感嘆の声を漏らしていた。
私たちは懐中電灯で照らしながらビルの中を進んでいった。

 

一階から二階、三階と各階を探索していく。
かつてはオフィスとして使われていたと思われる部屋には、机や椅子が並び、ちょっとした道具や文具が置かれたままになっていた。
佐藤が
「お宝があったりしてな」
とウキウキしているようだ。

 

やがて会議室らしきところがあり、長机と椅子が円形に並べられ、机の上には資料やペンが置かれていて、壁にはホワイトボードが設置されていた。
まるで時間だけが止まったかのような異様な空間だった。
「誰かいる」
突然山田が声を発した。
私たちは山田の方向へと視線を向けた。
山田が指差す先には、薄暗い廊下の奥に人影のようなものが見えた。
私は目を凝らして人影を見つめたのだが、人影はすぐに消えてしまった。
「やっぱり気のせいだったのかな。」
山田は首を横に振った。
私たちは探索を続けることにした。

 

四階に上がる階段を登りきった時、私は奇妙な音色を耳にした。
それはまるでオルゴールのような音色だった。
「…あの音、何の音?」
私は佐藤と山田に尋ねた。
「…俺も聞こえる。」
佐藤は真剣な表情で耳を澄ませていた。
「…どこから聞こえてくるんだろう?」
山田は周囲を見渡していた。
音色は徐々に大きくなっていく。
私たちは音色のする方へと向かっていった。

 

音色のする場所は四階の奥にある倉庫だった。
倉庫の扉は開いており、中からは薄明かりが漏れていた。
私たちは恐る恐る倉庫の中へと足を踏み入れた。
倉庫の中央には古いオルゴールが置かれていた。
オルゴールは自動的に演奏されており、美しい音色を奏で続けていた。
私たちはその音色に魅了され、しばらくの間立ち尽くしていた。
しかしその音色にはどこか不気味な響きもあり、徐々に恐怖を感じ始めていた。
「…このオルゴール、誰がゼンマイをまいたんだろう?」
山田が恐る恐る口を開いた。
「…分からない…」
私も答えは分からなかった。

 

オルゴールの演奏は止まることなく続いている。
私たちはオルゴールから目を離すことができなくなった。
その時、倉庫の扉がゆっくりと閉まり始めた。
佐藤が慌てて駆け寄り扉を開けようと試みたが、扉は重くびくともしなかった。
私たちは倉庫の中に閉じ込められてしまった。
「どうすればいいんだ!?」
山田がパニックに陥り始めていた。
「落ち着け!何とか方法を考えるんだ!」
私は山田を落ち着かせようと努めた。

 

雨の音とオルゴールの音だけが響き渡っている。
私たちは倉庫の中で助けを求めようと叫んだが、こんな所に誰もいるはずがなく、私たちの叫び声に応答する者はいなかった。
絶望と恐怖に打ちひしがれ、私たちはただただ時間だけが過ぎるのを待つしかなかった。

 

数時間後、オルゴールの演奏が突然止んだ。
私たちは静寂に包まれた倉庫の中で、互いに顔を見合わせた。
「…止まった?」
佐藤が信じられないといった様子で口を開いた。
私たちは恐る恐る倉庫の扉へと近づいていくと、扉が少しだけ開いていた。
私たちはわずかな隙間から外へと目を向けた。
外はすでに夜明けのようで、薄明るい光が廊下を照らしている。

私たち急いでその部屋から脱出し、車が置いてある所まで走った。