怖い話と怪談の処

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山奥の祠の中にあった犬頭の石像

もう20年以上前の事。

夏のある日、私は大学の友人3人と山奥でテントを貼りキャンプをしていた。

周囲は木に囲まれた場所だった。

 

昼間、私たちは周囲を探索していたのだが、しばらく歩いていると友人Bが足を滑らせて転んでしまった。

彼が転んだ先には小さな祠があり、丁度足が祠の扉に当たったらしく扉が外れていた。

その祠は古びていて苔むしていた。

Bが「いてて」と言いながら、「やばっ、扉外れちゃった」と言ってなんとか元に戻した。

私たちは扉の中には何があるのか興味が湧き、扉を開けて詳しく見てみることにした。

祠の中には小さな石像が祀られていた。

石像は何かの動物を模したもののように見えたが、詳細はよくわからない。

ちょっと人間のようにも見えるのだが、犬だか狐の頭が付いている。

私たちは扉を閉め「すいませんでした!」と誤って持ってきていた食べ物と、お酒を紙コップに注ぎ置いた。

 

やがて夜になり、焚き火を囲んで何気ない会話をしてテントに入った。

夜中の2時頃、突然テントの外から奇妙な音が聞こえ始めた。

それは服というか絹だろうか?それが擦れるような音や足音。

私たちは目を覚まし、その何だか分からない音に恐怖を感じ、誰も会話をせずじっとしている。

音はだんだん大きくなり近づいてきているようだ。

友人たちと目があったので「手でテントを少し開けて見てみる」というジェスチャーをし、意を決して私はテントの入り口を少し開けて外を見てみた。

見える範囲だと見渡しても何も見えない。

もう少し開けて頭と上半身を出してみたのだが、音は聞こえるけど何もいない。

音の正体がわからないまま周囲を見渡していたその時、背後からBが声を発した。

「あそこに何かいるぞ」

彼の指差す方向を見ると、木々の影の中に人影のようなものが立っていた。

距離が遠いため詳細はよくわからないが、背格好というか体のシルエットは人っぽいのだが、頭が人間の頭には見えない。

 

私たちは恐怖で声も出ず、ただその影を眺めていた。

しばらくすると影はゆっくりと動き始め、私たちの方へ近づいてきた。

その瞬間、私は本能的にテントの中に逃げ込むように言い、慌ててテントに入って入り口を閉め、懐中電灯を消した。

テントの中は真っ暗闇で何も見えない。

しかし外から聞こえる足音は、近づいてきている。

私たちは恐怖で震えながらじっとしていた。

その音がテントの入り口までやってきたかと思うと、ドサッと音がした。

私たちはビクっとしたが、誰も声を出さないように我慢していた。

その音のあとしばらく何も聞こえなかったのだが、また衣擦れのような音と足音が聞こえ始め、だんだんと遠ざかって行く。

 

どのくらい経ったか分からないが、ようやく音が聞こえなくなり静寂が続いた。

恐る恐るテントの入り口を開け外を確認すると、葉っぱのお皿みたいなものの上に、木苺や桑の実みたいなのが沢山置いてあった。

友人たちともしかしたら祠の中にいた神様みたいなのが持ってきたのか!?等と話し合い、折角なので次の日に美味しくいただいた。

昼間帰る頃、その祠によって残ったお酒を置いてきた。