怖い話と怪談の処

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キャンプシーズン真っ只中のキャンプ場の怪異

知り合いのKから聞いた話。

 

冷たくなり消えた薪

真夏のキャンプシーズン真っ只中、キャンプ場の従業員であるKは、夜勤の真っ最中だった。

夜中の静寂を破る虫の声と、遠くから聞こえる客の笑い声以外は何も聞こえない。

Kは明日使う薪の準備をしようと倉庫へと向かった。

倉庫の扉を開けると湿った木の香りが鼻腔をくすぐった。

暗闇の中、懐中電灯の光を頼りに薪を探し始めた。

積み重なった薪の中から太い薪を一本手に取った。

しかしその瞬間、奇妙なことが起こった。

手に持った薪がみるみるうちに冷たくなり、重さを感じなくなりついには消えてしまったのだ。

何が起こったのか理解できないKは、呆然と立ち尽くした。

 

倉庫の奥の影

夜も更け、キャンプ場は静かになった。

Kは最後の見回りをするために倉庫へと向かった。

倉庫の扉を開け、懐中電灯を照らすと奥の壁に奇妙な影が映っていた。

それは人のような形をした影で、ゆっくりと動き回っていた。

Kは恐怖を感じながらも、イタズラをしている人だったら困ると思い影に近づいていった。

しかしKが影に近づくと、徐々に薄くなりついには消えてしまった。

Kは倉庫の中をくまなく調べたが、何も見つけることができなかった。

 

消えたテント

翌朝、Kはキャンプ場を巡回していると奇妙なことに気づいた。

昨日の夜まで、一番端、倉庫近くに確かにあったはずの赤いテントが消えていたのだ。

Kは周囲を探したが、テントの痕跡はどこにも見当たらず、まるで元から存在していなかったかのようだった。

他の従業員に報告したが、そんなテントあったっけ?と言われるだけだった。

 

客の奇妙な体験

数日後、キャンプ場を訪れた客から奇妙な体験談を聞いた。

客の話によると、夜中にトイレに行こうとテントを出たところ、目の前に人影が立っていたという。

人影は真っ白な服を着て長い髪をなびかせていた。

客は恐怖で声も出ず、ただ立ち尽くしていたという。

すると人影はゆっくりと近づいてきて、客の耳元でこう囁いた。

「赤いテントを探して。」

そう言ったあと、ふっと消えてしまった。

客はその声に背筋が凍り、そのままテントに逃げ帰ったそうだ。

 

謎の言葉

Kは客の話を聞き、倉庫の奥の影と消えたテントのことを思い出した。

そしてそれら全てが繋がっているような気がした。

Kはキャンプ場の管理人に相談することにした。

管理人はKの話に耳を傾けこう言った。

「このキャンプ場には昔から奇妙な噂があった。それは、夜になると白い服を着た女が現れるというものだ。」

Kは管理人の話に驚き背筋がぞっとした。

あの影は白い服を着た女だったのだろうか?

 

キャンプ場で起きた事件

Kはその後もキャンプ場で奇妙な現象を目撃する。

そしてキャンプ場の過去を探っていくうちに恐ろしい秘密を知った。

それは数十年前、このキャンプ場で起きた事件の事だった。

事件の被害者は白い服を着た女性。

倉庫近くには赤いテントがあり、そこに女性が一人で泊まっていて、他には少し離れた所に中年の男性が一人使っていただけだったという。

夜が更け朝になると、赤いテントが消えている。

当時の従業員たちは、消えた女性が夜中か朝方に出ていったのであろうと考えていたそうだ。

少し離れた所にいた男性は夜中はぐっすり眠っていたそうで、特に物音はしなかったという。

だが数日後、別のキャンプ客がキャンプ場の近くで例の女性のカバンを発見した。

警察も来て捜索が行われたそうだが、結局何も見つからなかったそうだ。

 

あの影は事件に巻き込まれた女性の怨念だったのではないか、とKは思っているそうだ。