去年の夏、海側の県のキャンプ場に友人3人で行った時の事。
そこのキャンプ場は木々に囲まれていて、すぐ近くには海水浴場があるため、夏のシーズンになると毎年訪れるキャンプ地だった。
昼は防波堤で釣りをしたり、釣りに飽きると砂浜の方で泳いだりと夏の海を堪能し、夜はバーベキューで盛り上がった。
友達との夏の海でのキャンプは話題が尽きることがない。
気がつくと他の客の談笑する声も少なくなっていた。
そろそろ自分達も寝ようかということになり、テントに入って寝る準備が終わるとあっという間に寝てしまった。
どのくらい経ったか分からないが、砂浜の方からこちらに向かってくる足音で目が覚めた。
誰か他のキャンプ客が散歩をしてるんだろうか。
そう思いうつらうつらしていると
「悪いが水をくれないか?」
と聞こえた。
まだ寝ぼけた頭でテントの入口を見ると誰かが立っていて、入口から手だけをテント内に突き出している。
え?なに?水?自分の飲めばいいじゃないか、と思いながらカバンを漁り、水の入ったペットボトルを差し出した。
この時は友達の誰かが外に出て言ってるのだろうと思っていた。
まったく誰だよと思いながら時間を見ると5時手前。
明るくなってきたけどまだ寝れるな、と思いながら友人たちの方を見ると、友人達は皆寝ている。
他の客が自分のテントと間違えたのか?と入口を振り返ると既に誰もいない。
去っていく足音も聞こえなかった。
すぐにテントからでて周りを見たが、少し離れた所にあるテントは誰も起きてる様子が無いし、歩いている人も見当たらない。
何だったのかは考えないようにし、もう一度寝る事にした。