大学生の夏休みの時、サークルメンバー8人で山の中でキャンプをした。
その日は天気予報だと一日中晴れという事で、夜になると皆で焚き火を囲んで楽しんでいた。
そのうちに怪談をしようという事になり、その手の事が好きな人が順番に語るという事になった。
よく聞くような怪談が語られた後の事だ。
突然土砂降りになり、皆で急いでテントの中に避難した。
テントは男女で分かれており、男5人、女3人の2つ。
男の方のテントでその土砂降りで盛り上がっている時、テントの出入り口にいるメンバーが
「人が歩いてる音がする」
と言い出した。
雨の音がそう聞こえるんじゃないの?と誰かが言ったのだが、これは雨の音じゃなくて人が歩いてる音だ、と言う。
どれどれと何人かが聞きに行くと、それは本当に人がバシャバシャと音をたて歩く音だった。
一人が
「誰かいるんですか?大丈夫ですか?」
と声をかけた。
その音がやがてこっちに向かって歩いてくるらしく、入り口近くに集まったメンバーがライトを照らしながら音の方向を見守る。
その時土砂降りが突然止んだ。
すると足音がバシャッ、バシャッと2回程鳴ったと思ったら足音まで消え、シーンと静まり返った。
ライトを持ってる人が当たりを照らしたが誰もいない。
やはり雨の音だったんだよという事になり、男女のテントに分かれた。
女子メンバーが女子用テントに戻ったあと、地面を照らした人がこう言ってきた。
「さっき雨がやんだ時に地面を照らしたんだけど、テントのすぐそこに足跡があったんだ。
でも女子がいる所でそんな事いったら、パニックになるかもしれなかったから言わなかった」
と言った。
その後朝になるまで交代で見張りをしようという事になったが、それからは特に何も起こらなかった。