友人のFから聞いた話。
Fが高校時代、友達数人で山深いキャンプ場に行った。
季節は夏、丁度開けたよさそうな場所にテントを張って楽しんだ。
やがて夜になり、星空の下で焚き火を囲んで時間を過ごしていた。
気がつくと深夜になっていたのでテントに入り寝る準備をした。
すると、不気味なザワザワとした喋り声が遠くから聞こえてきた。
最初は風のせいだろうと思っていたが、その声は次第に大きくなり、まるで複数の人が何かを囁いているようだった。
不安を感じながらもFたちは耳を傾け、その声が何を言っているのか聴いた。
外を覗くと、キャンプ場の中央にある焚き火の跡に再び炎が揺らめいていた。
Fたちは驚いた。
彼らは既にその焚き火を消していたことを確認しており、誰かが火をつけない限り再びつくはずがなかった。
よく見ると最初はただの火の揺らめきの影かと思っていたのだが、焚き火の周りには黒い人影が複数座っているようだった。
彼らはゆらめく炎の前で、喋るような仕草や、頷いてるような仕草をしている。
Fたちは焚き火の光で照らされるその影に怯え、どうすればいいか迷っていた。
やがて影たちの言葉が妙に訛りがあるような言葉に聞こえてきたのだが、それでも何をいっているのかは分からない。
その状況にFたちは恐怖を感じなくなっていった。
どのくらい経ったか分からないが、影たちが立ち上がり、木や雑木、草が生い茂る中へ消えていった。
焚き火はいつの間にか消えている。
Fたちは持ってきたライトを持ち、テントから出て焚き火の周辺や影たちが消えていった方を照らしてみたが、さっきの影たちは見えなかった。
その後、友人たちはテントに戻り、先程の影について話してみたが、よく分からないので寝ようという事になり寝たそうだ。