キャンプ仲間と一緒に夏の山へ登山に行った時のこと。
夕方になり、キャンプ場で私達は焚き火の周りに座り、山の夜空を見上げながら楽しいひとときを過ごしていた。
宴の中で、ふとしたことから怪談の話題が持ち上がった。
興奮と緊張感が宴会を包み込む中、一人の仲間が「この山には昔、山神の祟りを受けた者がいた」と言い出した。
彼が語り始めると不気味な雰囲気に包まれた。
山の奥深くに住むとされる山神の怒りを買った者が、夜になるとその者の周りに奇怪な現象が起こるという。
聞き手たちは興奮と共に、不安を感じながらも話に引き込まれていった。
すると、話が進むごとに焚き火の明かりが不意に揺らぎだし、山の中から聞こえるはずのない足音が、近づいてくるような錯覚が生まれた。
だんだんと周りの影が不気味に見え、焚き火の輝きだけが夜の山を照らしていた。
やがて話が終わりを迎え、話が終わると同時に焚き火が一瞬にして消え、山の中から不気味な声が聞こえた。
驚きと恐怖に包まれた私達は、すぐに焚き火を消しテントに逃げ込んだ。
テントの中で話をせずに様子を伺っていると、テントの外で何かが動いているような足音がする。
私達は恐怖で一睡も出来ずに朝を迎えた。
外が明るみ出した時、気がつくと足音や物音は消えていた。
恐る恐る外に出て確認すると、焚き火の周りには足跡も何もなかった。