山深い森の中にあるキャンプ場で、私と友人KとMは夜を過ごしていた。
火を囲み、友人たちと笑い話をしていたが、その笑い声が急に途切れた。
K「聞こえるか?」
Kが耳を澄ませて言った。
私とMは耳を澄ませてみたが特に何も聞こえない。
M「いや、特に何も聞こえないけど」
私「風か動物の鳴き声じゃない?」
Kはそういうのじゃなかったんだけどなー、と呟いている。
ちょっと不安になった私とMは、テントに入ろうと言って火を消してテントに入った。
やがて夜も遅くなったのでそろそろ寝ようか、という事になり寝袋に入った。
どのくらい経ったか分からないけど、深夜、目が覚めてしまった。
山の中というだけあって凄く静かだ。
そんな静けさを堪能していると、テントの外で物音がした。
私は友人たちを起こし、懐中電灯を手に取ってテントのファスナーを開けた。
外には誰もいなかったが、私たち以外の足跡が残っている。
入り口近くにある足跡をよく見てみると、それは人間の足跡ではなかった。
大きくて鋭い爪が刻まれている。
え?これって熊?私たちは恐怖で急いでテントのファスナーを閉めた。
Mが「この山で熊が出るなんて聞いた事がないぞ」という。
しかし外には何かがいることは間違いない。
熊が来たらどうしよう等話し合っていると、また何か聞こえてきた。
シッとKが指で合図をし、しばらく静かにした。
「…助けて」
子供の声だった。
しかし私たちがキャンプ場に来たとき、子供はおろか誰もいなかったはずだ。
私たちはテントの中で固まっていた。
「助けて」
声は繰り返された。
Kが「開けてみよう」と言ったが、私は怖くて動けなかった。
声は私たちを呼んでいるように感じたが、それでもテントのファスナーを開けることができなかった。
「もしかしたら、本当に子供が助けを求めているかもしれない」
Kが言った。
私は迷ったが、最終的には勇気を出してテントの外に出て、声の方にライトを向けて探し始めた。
すると木々の間に立つ子供の姿を見つけた。
はっきりとは分からないが、背丈からして小学生くらいだろうか。
服装は白い服とスカートという格好で、髪の毛が長い女の子。
その子は私たちを見つめている。
「助けて」
再び囁いた。
こんなところでどうしたんだい?と言いながらKは近づいていった。
Kがその子彼に手を差し伸べた瞬間、その子は消えてしまった。
3人とも呆然としてしまったが、MがKを急がせるように呼び戻し、急いでテントの中に入り、朝が来るまで寝ずに過ごした。