怖い話と怪談の処

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忘れられない夏の記憶

薄暗い納戸の奥から、埃まみれの古いアルバムを見つけた。

懐かしさに駆られ、ページをめくるとそこには幼い頃の私の笑顔が写っていた。その中には鮮明に覚えているはずなのに、なぜか記憶から抜け落ちていた一枚の写真があった。

それは夏祭りの夜に神社で撮影されたものだった。浴衣を着た私は、提灯の灯りに照らされて満面の笑みを浮かべている。しかし、私の隣に写っていたはずの親友の姿がどこにも見当たらない。

不気味さに背筋がぞっとする。確か親友と二人で神社を訪れたはずなのに、なぜ写真には私しか写っていないのだろうか?記憶を辿ると、その夏祭り以降、親友と会えなくなったことを思い出した。

 

当時、私たちは田舎の古い家に住んでいた。夏祭りの夜、私たちは近所の神社で開催される花火大会を見に行った。夜空を彩る花火に夢中になっていた私は、いつの間にか親友と離れ離れになってしまっていた。

花火が終わり、人混みをかき分けながら親友を探したが、どこにも見つけることができなかった。何度も名前を呼んだが、返事はない。不安と恐怖に襲われながら、夜道を一人で家へと帰った。

 

翌日、親友の家を訪ねたが、誰も住んでいない様子だった。近所の人に聞いても、親友一家が引っ越したという話は聞いていないという。

それから数日後、私は納戸で奇妙な体験をした。夜中に目を覚ますと、納戸から物音が聞こえてきた。恐る恐る納戸の扉を開けると、そこには誰もいないはずなのに、古いアルバムが床に置かれていた。

アルバムを開くと、昨日見たはずの写真が消えていた。代わりに、真っ暗な闇が広がるページがあった。その闇から、何かが私をじっと見つめているような気がした。

恐怖で声も出ないまま、私は目を閉じた。しばらくすると、物音が止み、納戸は静寂に包まれた。

あの日から、私は親友と再会することはできなかった。そして、あの奇妙な体験も二度と起こらなかった。しかし、納戸の奥に眠る古いアルバムは、あの夏の夜の記憶と、消えた親友の影を、私に思い出させ続ける。

あれは、単なる夏の夜の夢だったのだろうか?それとも、何か恐ろしい真実が隠されているのだろうか?真相は闇の中だが、あの日以来、私は夜になると納戸の扉を開けるのが恐ろしくて仕方がない。

 

後日談
数年後、私は東京で一人暮らしをしていた。ある日、偶然街で親友と再会した。親友は、あの夏祭りから記憶喪失になり、長い間行方不明になっていたという。

親友の話によると、あの夜、神社で花火を見ているうちに、突然激しい頭痛に襲われたらしい。気がつくと、見知らぬ場所で一人ぼっちだったという。その後、記憶喪失のまま、各地を彷徨っていたそうだ。

奇跡的な再会を喜んだ私たちは、長い時間話し込んだ。親友も、あの写真から自分が消えていることを不思議に思っていた。

あの夏祭り、私たちに一体何が起こったのだろうか?真相は謎のままだが、私たちの間には、あの日以来、説明できない奇妙な繋がりを感じていた。

そして、今でも夜になると、納戸の奥からあのアルバムが私を呼んでいるような気がしてならない。