夏休み、私は家族と山奥にあるキャンプ場を訪れた。
緑あふれる自然に囲まれ、心は解放感でいっぱいだった。
キャンプ2日目、私は一人で森を探検することにした。
木々の間を縫って歩きながら、珍しい虫や植物を見つけては喜んでいた。
しばらく歩いていると、薄暗い霧に包まれた場所に出くわした。
霧はまるで生きているように動き、周囲の景色を曖昧にしていく。
足元を慎重に見ながら霧の中を進んでいくと、少女の背後姿が目に飛び込んできた。
少女は長い髪をなびかせ、白いワンピースを着ていた。
私は声をかけようと近づいていった。
しかし少女は振り返ることなく、ただ霧の中へと歩き続けていく。
少女の後を追いかけていくと、いつの間にか見知らぬ場所に来ていた。
そこには朽ち果てた遊具や壊れたベンチが置かれた、廃墟となった公園が広がっていた。
少女は公園の奥にあるブランコに座り、静かに空を見上げていた。
私は少女の隣に座り、どこから来たのか、何をしているのか尋ねてみた。
しかし少女は何も答えず、ただ虚空を見つめているだけだった。
しばらく少女と並んで座っていると、背後から人の気配を感じた。
振り返るとそこには誰もいなかった。
再び少女の方を見ると、彼女の姿は消えていた。
霧はさらに濃くなり、周囲は何も見えなくなってしまった。
私は恐怖に襲われ、大声で助けを求めた。
しかし誰も私の声に答えることはなかった。
気がつくと、私はキャンプ場のテントの中で目を覚ましていた。
隣で寝ていた父に声をかけると、昨夜からずっと寝ていたと聞いて驚いた。
森で少女と出会ったこと、廃墟となった公園、そして霧の中で消えたこと。
全てが夢だったのだろうか。
しかし私の足には泥が付いており、服には草の跡が付いていた。
夢にしてはあまりにもリアルな体験だった。
あの少女は誰だったのか?
そしてあの廃墟となった公園は何だったのか?
今でも答えは分からない。
しかしあの霧の中で体験した不思議な出来事は、私の心に深く刻み込まれている。
その日から数ヶ月後、私は再びあのキャンプ場を訪れた。
あの日と同じように、一人で森を探検していく。
あの霧に包まれた場所を見つけようと必死に探したが、二度と見つけることはできなかった。
あの少女は本当に存在していたのだろうか?
それとも私の空想が生み出した幻影だったのだろうか?
今でも答えは分からない。
しかしあの日体験した不思議な出来事は、私の心に永遠に残るだろう。
あの少女は私の心に深い謎を残していった。
そしてその謎は、いつの日か解き明かされるのだろうか。