機内は静まり返り、ほとんどの乗客は眠りに就いていた。
私も疲れを感じていたため、目を閉じてうたた寝をしていた。
しばらくすると奇妙な夢を見た。
夢の中で真っ白な霧に包まれた空を飛んでいる。
周囲には何も見えず、ただ不気味な静寂だけが響き渡っていた。
夢から覚めると背筋に悪寒を感じた。
ふと機内の様子がおかしいことに気づいた。
照明が薄暗くなり、窓の外は真っ暗な闇に包まれていた。
不安を感じながら周囲を見渡した。
すると私の斜め前の座席に、奇妙な影が映っていることに気づいた。
それは明らかに人間ではない形をしていた。
影はまるで薄い布でできたようにぼんやりとしている。
そしてその影はゆっくりと動き出し、私の座席の方へ向かってきた。
恐怖で震えながら、私はその影をじっと見つめていると、影は私の目の前にまで近づき、私の顔を見つめているようだ。
その瞬間、私は影から強烈な寒気を感じた。
影は何も言わず、ただじっと私を見つめているようだ。
私は恐怖のあまり声も出なかった。
ただただその影から逃げ出したかった。
だが体が動かない。
まるで影に押さえられているような感覚だった。
影はしばらく私の顔を見つめた後、ゆっくりと消えていった。
しかし私はしばらくの間恐怖で動けなかった。
ようやく体が動かせるようになった時、私は客室乗務員を探した。
客室乗務員を見つけたので今起こった出来事を話したのだが、私の話を信じようとせず、少し焦ったような感じで「夢でも見たのでしょう」と言われて片付けられてしまった。