ある日、私は仕事で残業していた。
会社のオフィスはもう誰も残っておらず、私一人が黙々と仕事に取り組んでいた。
窓の外ではすでに暗闇が広がっている。
一時間ほど残業を続けた後、私はちらりと部屋の隅に何かが見えた。
それは人の影だった。私は驚きながらも振り返ると、そこには同僚の一人が立っていた。
「もう帰ろうよ。」
同僚は微笑みながら言った。
私は彼の提案に賛成し、仕事を切り上げて一緒に帰ることにした。
そんなに遅い時間なのかな?と思って時計を見ると、もう深夜0時を指していた。
エレベーターで下の階に向かう途中、何となく彼の様子がおかしいことに気付いた。
先ほどから何も喋らない。疲れてるのかな?とチラッと見ると、彼の姿がなんだか薄く透明に見えた。
私はびっくりして彼をじっくりと見ると確かに薄く見える。
しばらく何も言えず、彼の隣に立ち続けた。
やがてエレベーターが停止し、扉が開くと私たちは廊下に出た。
時間も時間のせいか廊下静まっており誰もいない。
私は彼に声をかけようとしたその時だった。
彼の姿が消えてしまったのだ。
私は唖然と立ち尽くし、そのまま呆然としたままビルから出た。
疲れすぎて幻覚を見てしまったのかもしれないと思い、まっすぐ家に帰ってすぐに寝る事にした。
翌日、会社に出勤してみると他の同僚が数人集まっている。
どうしたのかとその場にいき話を聞いてみると、昨日私が体験したように、同じような体験をした者が何人かいた。
そしてその同僚が昨夜亡くなったことを知った。