怖い話と怪談の処

いつも☆くださる方、ありがとうございます。このブログは知り合いから聞いた話や、思いついた話を載せていきます。完全に自作した話やAIにアイデアを貰った話、心霊系動画に使えそうな素材等を置いていきます。

台所にいた人

大学生のTは友人のSとFと一緒に、夜の21時過ぎに車で心霊スポットの廃墟に行った。

薄暗い廃墟の中はひんやりと静まり返り、不気味な空気が漂っていた。

 

懐中電灯の光を頼りに奥へと進んでいくと、埃まみれの古い家具や壊れた人形などが散乱しており、Tたちは背筋がぞっとするような感覚を覚えた。

しかし特に何も起こらず、心霊スポットはただの廃墟に過ぎなかった。

拍子抜けしたTたちは、何も起きなかったな~と自宅のアパートへと帰っていった。

SとFと別れ、Tは部屋に入った。

時間は1時手前。さて寝るかとベッドに横になり目を閉じた。

 

3時過ぎ、トイレに行きたくなり目が覚めた。

Tは眠い目をこすりながらトイレに向かった。

その時、台所の方で人の気配を感じた。振り返ると、そこには髪の毛が肩くらいまでのボサボサした人が立っていた。

Tのアパートにはたまに母親が訪ねてくることもあったので、母親が来ているのだろうと気にせずトイレに行った。

トイレから戻る途中、Tはふと疑問を感じた。

こんな時間に母親が何故いるんだ?

台所を覗いてみると誰もいない。不思議に思って玄関の靴を見てみたが、自分の靴しか置いていない。

一体あれはなんだったのだろうか?

Tは再び台所に向かい、声をかけた。

「お母さんいるの?」

しかし返事はない。台所は薄暗く誰もいない。

Tは恐怖に震えながら再びベッドに横になった。

しかし眠れない。あのボサボサした人のことが頭から離れない。

 

夜が明け、Tは友人たちを呼んで昨日の出来事を話した。

するとSは

「それは絶対にお母さんじゃないよ」

と真剣な顔で言った。

「だってお母さんならTが帰ってきたことに気づくだろうし。」

Fも

「私もSと同じ意見だよ。もしかしたらあの廃墟で何かを拾ってきたのかもね。」

と恐ろしいことを言った。

Tは、SとFの言葉に恐怖を募らせた。

 

念の為、TはSとFがいる間に母親に電話し確認してみたところ、

「そんな時間に行くはずないでしょ」

と言われた。

 

あのボサボサした人は一体誰だったのか?そして何故Tの部屋にいたのか?

あのボサボサした人の正体を知りたいという気持ちと、再びあの恐怖を味わいたくないという気持ちの間で、Tは今日も不安を抱えている。