大学生のA子は、夏休みを利用して友人3人と海辺の別荘に遊びに来ていた。
その別荘はA子の叔母が所有するもので、古くて少し不気味な雰囲気だったが広くて快適だった。
ある夜、4人はトランプをして遊んでいた。
窓の外は嵐で激しい雨が窓を叩きつけていた。
その時、突然停電が起こり部屋は真っ暗闇に包まれた。
「キャー!」
悲鳴を上げたのはB子だった。
彼女は霊感が強く、時々不思議な体験をすることがあった。
「どうしたの?」
A子が心配そうに尋ねると、B子は震える声で答えた。
「誰か... 誰かがいる...」
「そんなことないわよ。 きっと気のせいよ」
C子はそう言って慰めたが、B子は首を横に振った。
「違う... 間違いないわ。 今、私の耳元で...」
B子はそこで言葉を止めた。
彼女の声は、まるで消えてしまったかのように聞こえなくなってしまったのだ。
「B子? B子!」
A子たちが名前を呼んでもB子は何も答えない。
ただ、暗闇の中でかすかに息をしているのがわかるだけだった。
次の瞬間、窓の外から何かがガラスを引っ掻くような音が聞こえた。
その音はまるで爪のようなもので、ゆっくりと、しかし確実にガラスを削っているようだった。
A子たちは恐怖で体が硬直し、身動きが取れなくなった。
そしてその音は次第に大きくなり、ついにはガラスが割れる音がした。
「キャーーーー!」
3人は悲鳴を上げ部屋の隅に逃げ込んだ。
やがて嵐が去ったが、夜が明けるまで、彼女たちは恐怖に震えながら身を寄せ合っていた。
朝になり停電も復旧した。
A子たちは恐る恐る部屋の中を見回したが、B子の姿はどこにもなかった。
まさか外に出たのか?と思った時、割れた窓ガラスのそばにB子の携帯電話が落ちていた。
A子が携帯電話を広い、その画面を確認してみるとメッセージが表示されていた。
「たすけて」
その後、A子の叔母や母親たち、そしてB子の家族も集まり、警察も来て捜索が始まったのだが、B子が見つかる事はなかった。