怖い話と怪談の処

このブログは知り合いから聞いた話や、思いついた話を載せていきます。完全に自作した話やAIにアイデアを貰った話、心霊系動画に使えそうな素材等を置いていきます。使用したい場合はこのサイトについてを、画像素材は画像素材のTOPの注意事項を必ず読んで下さい。

押入れの住人

Aさんは職場から遠くても安いアパートを選んで住んでいた。

普段は規則正しい生活を送っていて、夜更かしをすることなど滅多になかった。

しかし、お盆休みで10日間の休暇に入り、久々の自由時間を満喫していた。

その夜、Aさんは珍しく夜中までネット動画を見ていた。

そろそろ寝ようと時計を見ると、深夜1時を過ぎていた。

寝室に向かい、布団に入ろうとしたその時、押入れの方から微かな物音が聞こえてきた。

 

「カリッ…カリッ…」

それは何かが爪で押入れの襖を引っ掻いているような音だった。

Aさんは背筋がゾッとした。

実はAさんはこのアパートに引っ越してきてから、押入れは一度も開けたことがなかった。

何が入っているのかさえ知らなかったのだ。

音は徐々に大きくなり、引っ掻く音だけでなく何かが中で動いているような気配も感じた。

恐怖に駆られたAさんは、布団の中で体を固くして音に耳を澄ました。

しばらくすると音が止まった。

Aさんは恐る恐る押入れに近づき襖に手をかけた。

心臓がドキドキと音を立てている。

意を決して一気に襖を開けた。

 

押入れの中には暗闇が広がっていた。

「え?何だこれ?何も見えない。」

しかし確かに何かがいる気配を感じた。

息を潜めてじっと奥の方を見つめていると、暗闇の中から二つの小さな赤い点が浮かび上がってきた。

それはまるで獣の目のようにAさんをじっと見つめていた。

次の瞬間、その赤い点がゆっくりと近づいてきた。

Aさんはそれが何かを理解した。それは人間の子供の目だった。

暗闇の中から小さな子供が這い出してくるのが見えた。

体は痩せ細り、顔は青白く、目は真っ赤に充血していた。

子供はAさんに向かってニタリと笑うと、こう言った。

「遊ぼうよ…」

Aさんは恐怖のあまり声も出せず、その場で気絶した。

 

次の日の昼頃、Aさんは友人からの電話の音で目を覚ました。

恐る恐る押入れを開けてみると、中は空っぽで何もなかった。