夏手前の蒸し暑い夜、大学の友人グループはKの家に集まっていた。
メンバーはK、M、Rの三人。彼らは怪談や都市伝説に興味を持っており、この夜も新たな冒険を企てていた。
「今日は少し変わった場所に行こうか」
とKが切り出した。
「川辺にある幽霊灯の話、知ってるか?」
MとRは首をかしげた。
「何それ?聞いたことないな」
とMが答えた。
Kは笑みを浮かべ、
「実は俺の地元で知ってる人は知ってる話なんだ。夜になると川のほとりに不思議な灯りが浮かぶんだ。」
興味をそそられた二人は、早速その川辺に行くことに決めた。
Kが車を出し夜の川辺に向かう。
到着すると辺りはすでに暗くなり始めていた。
周りは森に囲まれていて川の音だけしかしない。
三人は懐中電灯を持ち川辺を歩く。
「ここだ、噂の灯りが現れる場所は」
とKが指を差した。その先には古びた木製の橋がかかっており、川の流れがゆったりと続いていた。
三人は橋の近くに腰を下ろし、灯りが現れるのを待った。
ヒソヒソと小声ではなしていると、突然川の向こう岸に小さな灯りが見えた。
「見ろ、あれじゃないか?」
とRが声を上げた。三人は息を飲んでその灯りに目を凝らした。
その灯りは、まるで人魂のようにふわふわと浮かんでいた。
次第に近づいてくるその灯りは青白っていて、その周囲を照らしている。
三人は息を呑みながらその人魂を見つめていた。
やがて人魂は動き出し、川の向こう岸にある森の中に向かっていく。
「…すげぇ、なんだあれ」
とMが言い、三人はそれを終始無言で見つめていたが、人魂が森の中に消えていった瞬間、皆で一斉に走り出した。
急いで車に乗り込み、Kの家へと帰ることにした。
帰る途中、Mが言った。
「今見たもの、Kの家で議論しないか?」
Rも同意し「コンビニに寄っていって酒や食べ物を買おう」と提案した。
三人はコンビニで必要なものを買い込み、Kの家に戻った。
Kの家に到着すると早速リビングに集まり、酒を飲みながら今見たものについて騒ぎ始めた。
「あれが幽霊灯ってやつだったのか?」
「あの灯り、一体なんだったんだ?」
と三人は興奮気味に語り合い、朝方までその話で盛り上がった。