怖い話と怪談の処

いつも☆くださる方、ありがとうございます。このブログは知り合いから聞いた話や、思いついた話を載せていきます。完全に自作した話やAIにアイデアを貰った話、心霊系動画に使えそうな素材等を置いていきます。

廃村の墓地

梅雨が明けたばかりの初夏の夕方、大学生の3人組、M、T、Kは、ネットで見つけた廃村の墓地へと向かっていた。

Mの運転する車で、彼らは廃村があるという山奥へと進んでいった。

「本当にここに廃村があるのか?」

Tが後部座席から前の二人に問いかける。

「ああ、ネットで見た情報だとこの先にあるらしい。気味悪いけど興味あるだろ?」

Kがスマホの地図を見ながら答えた。

「まあな…肝試しにはうってつけだな。」

Mは運転しながら笑った。

 

車は道なき道を進み、やがて廃村にたどり着いた。

到着した時はまだ夕方で辺りは静まり返っていた。

彼らは車を降り、廃村の様子を見回した。

「ここが廃村か…確かに誰もいないな。」

Mが言う。

「墓地はどこだ?」

Tが尋ねると、Kが地図を見ながら指差した。

「あっちの方だ。もう少し奥に入る必要があるみたいだ。」

廃村を一通り見て回った後、三人は近くのファミレスに行き、夜が来るのを待つことにした。

ファミレスで夕食をとりながら彼らは廃村の噂話に花を咲かせた。

「本当に幽霊とか出るのかね?」

Tが言うと、Mが笑って答えた。

「それを確かめるために来たんだろ?」

やがて夜になり、再び廃村へと向かった。

今度は懐中電灯を手にして墓地を目指すことにした。

「さあ、行くぞ。」

Mが先頭に立ち、三人は廃村の奥へと足を踏み入れた。

懐中電灯の明かりだけが頼りの中、彼らは墓地への道を進んでいった。

「静かすぎて気味悪いな…」

Tが呟く。

「大丈夫だって。」

Kが言うが、その声にも少しの緊張が混じっていた。

 

やがて古びた墓石が見え始めた。

「ここだな…」Mが言うと、三人は墓地の中央に立ち止まった。

古い墓石が乱雑に並び、その多くが倒れていたり苔むしていたりした。

「やっぱり気味悪いな…」

Tが再び呟いたその時、突然どこからともなくすすり泣きの声が聞こえてきた。

「おい、今の聞こえたか?」

Tが震えながら言った。

「気のせいだろ?」

Mが答えるが、その声にも動揺が感じられた。

するとKが突然叫んだ。

「あれを見ろ!」

Kが指差す方向に懐中電灯を向けると、そこには誰かが立っていた。

その人は古びた着物を着た女性だった。

彼女はじっと三人を虚ろな目で見つめている。

廃村じゃない墓地ならたまたま来ていた人という事になるが、ここは廃村、しかもその女性は電気も点けずにずっとそこにいた事になる。

どう考えても普通じゃない

「うわああああ!」

Mが叫び、三人は一斉に逃げ出した。

懐中電灯の光が揺れ、足元が不安定な中で何度も転びそうになりながら、廃村を抜け出した。

 

抜け出したところで振り返ってみたが、追ってきてはなさそうだった。
車に辿り着き急いで乗ったあと、走りながらさっきみたその事について色々話し合ったが、あんな山の中にライトも持たずに一人で来るのはおかしい。
幽霊じゃなかったにしろ普通じゃない、という事になった。