友人のSとK、そして俺の三人は、いつも肝試しを楽しんでいる。
ある日、Sが面白い話を持ってきた。
山奥にある古びた屋敷に、青いドレスを着た人形が置かれているらしい。
その人形を持ち帰ると夜中に動き出し、持ち主を襲うという噂があるというのだ。
「どうせただの噂だろ?」
とKが笑い飛ばし、俺たちはその屋敷へ行くことに決めた。
スマホで場所を確認したところ、車でいけば2時間くらいで行ける場所だったので、すぐに出発した。
夕方には屋敷に到着し、ボロボロの外観が俺たちの興味を引き立てた。
屋敷の中に入ると、埃っぽい空気と腐った木の匂いが漂っていた。
懐中電灯を頼りに進むと、一つの部屋の隅にその青い人形が置かれていた。
最初は子供が遊ぶような小さい人形だと思っていたのだが、思ったよりも大きく、金髪で青いドレスを着ていた。
「これが例の人形か…」
とSが呟きながら手に取った。
「俺が持って帰るよ。何も起きないって証明してやる」
と笑顔で言った。
その夜、Sの家に集まった俺たちは、人形をリビングに置き、酒を飲みながら怪談話をしていた。
しかし深夜になると妙なことが起き始めた。
窓の外で何かが動く音が聞こえたり、家全体が微かに揺れるような感覚があった。
「なんか、気味悪いな…」
とKが不安そうに言った。Sも少し緊張した表情を浮かべていたが、
「ただの気のせいだろ」
と笑っていた。
午前2時過ぎ、俺たちは眠ることにした。
俺とKはソファで寝ることにし、Sは自分の部屋へと向かった。
ふと目が覚めた時、部屋は真っ暗で時計を見ると午前3時を過ぎ。
すると突然、リビングの隅で微かな物音がした。
スマホのライトを点けて音の方を照らすと、そこには青い人形が立っていた。
「うわっ!」俺は驚きの声を上げ、Kもその声で飛び起きた。
人形が動くはずがない。しかしそれは確かに立っていたのだ。
この異変をSにも知らせないと、と思った俺たちは急いでSの部屋に駆け込んだ。
ドアを開けるとSはベッドでうなされていた。
汗びっしょりで何かに怯えた表情をしていた。
「S!起きろ!人形が動いたぞ!」
何度か声をかけたり揺さぶったりしていると、やっとSが目を覚ました。
「怖い夢でも見てたのか?」
Kが心配そうに尋ねた。
Sは震えながら、
「夢の中で青いドレスを着た女の人に追いかけられてた…」
と呟いた。
「彼女がずっと追いかけてきて『モトニモドセ…』って囁いてくるんだ…」
俺たちは顔を見合わせた。
リビングに戻ると青い人形は再び座っていた。
そのままにしておくわけにはいかないと感じた俺たちは、すぐに人形を元の屋敷に戻すことに決めた。
真夜中の道を車を飛ばして古びた屋敷へ急ぎ、屋敷に着くと元の部屋に人形を戻した。
皆で勝手に持っていってしまってごめんなさい!と何度か謝り、効果があるかは分からないけどカップ酒とおつまみを置いてきた。