怖い話と怪談の処

いつも☆くださる方、ありがとうございます。このブログは知り合いから聞いた話や、思いついた話を載せていきます。完全に自作した話やAIにアイデアを貰った話、心霊系動画に使えそうな素材等を置いていきます。

屋上に潜む影

あるオフィスビルを警備しているMさんの話。

Mさんは、毎晩巡回の一環として屋上へ上がることになっていた。

昼間は社員たちで賑わっているこのビルも、夜になると不気味なほど静かになる。

ある夜、Mさんがいつものように屋上に上がると、視界の隅に黒い影が見えた。

誰かいるのかと思い、屋上をくまなく探してみたが誰も見当たらない。

気のせいだったのかなと思い、そのまま巡回を続けた。

 

しかし翌晩も同じ場所に同じ影を見たのだが、近づこうとすると消えてしまう。

「なんだろうな、あの影は」

Mさんは心の中でつぶやいた。

その影は翌晩も、そのまた翌晩も必ず同じ場所に現れた。

屋上の片隅にじっと佇むその影は、最初は静止しているだけだったが、ある夜から少しずつ動き出すようになった。

Mさんが屋上に上がるたびに影は少しずつ近づいてくるのだ。

近づいては来るのだが、少し動くとフッと消えてしまう。

「なんなんだ…あれは…」

Mさんは不安を感じたのだが、すぐに消えてしまう影なんてどう報告したらいいのか分からない。

 

ある晩、影がいつもよりも大きく近づいてきたことに気づいたMさんは、懐中電灯を片手に影の方向へゆっくりと歩み寄る。

「おい、誰かいるのか?」

声をかけたが返事はない。

影はじっとMさんを見つめているようだった。

Mさんはさらに一歩近づいた。その瞬間、影が突然動き出し、Mさんに向かって急接近してきた。

「うわっ!」

Mさんは驚いて後ずさりし、転びそうになる。

影はMさんの目の前で止まり、その輪郭が次第にはっきりとしてきた。

それは人間の形をしていたが顔がない。

ただの黒い空間が広がっているだけだった。

恐怖で凍りつくMさんの目の前で、影はゆっくりと手を伸ばしてきた。

「や、やめろ!」

Mさんは必死に逃げようとしたが、影の手が彼の肩を掴んだ瞬間意識が遠のいた。

 

どのくらい経ったか分からないが、気がつくと同僚に揺すり起こされた。

「おい、大丈夫か?」

Mさんは体を起こし辺りを見回したが、影はどこにもいなかった。

同僚は心配そうにMさんを見つめていた。

その後、Mさんは同僚たちにこの出来事を話したが、誰も信じてくれなかった。

むしろ彼が疲れすぎて幻覚を見たのだろうと言われ、しばらく日勤だけに変更された。